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体育からは逃れられない

運動音痴なわたし

わたしは小さな頃から運動が苦手だった。もちろん、体育の時間は大嫌い。運動会なんて無くなればいいと思っていた。高校を卒業して、あの大嫌いな体育の時間からやっと解放されると喜んでいた。
ところが!!どっこい!!なんと大学でも体育の時間があった。「健康運動科学」という講座らしい。実技半分、座学半分。しかも必修科目で、履修して単位を取得しないと、卒業すら出来ない。

愕然とした、泣いた

もう嫌だ。何が悲しくて大学に入ってまで体育の授業を受けなければならないのか?受けたい人だけ受ければいいのに。そういう講座が必要なのは分かる。小学校の先生になる人には必要だろう。でも、わたしは物理学科なのだ。絶対に必要ない。散々喚いたが、単位取得には逆らえない。受講した。
最初の授業で「12分走」という「計測」をさせられた。それは、12分間休まず全力疾走して、走った距離を記録するのだ。しかも1回で終わらない。
わたしは、辛くて辛くて涙が出てきた。12分間も走れない。ほとんど歩いた。もう歩くのも嫌だ。

レポートは悪口で埋めた

何が「健康運動科学」なのか?わたしに限って言えば、あんなに走らされて数日体調を壊した。少なくとも健康にはならない。
そもそも、「健康」とは心身共に健全な状態を言うのではないのか?運動する事でよしんば身体が健康になっても、わたしにとってはストレスが大き過ぎて「心」は著しく不健康になる。それを「科学」するとは如何なものか。物理学科のわたしからしてみれば、軽々にサイエンスと言って欲しくない。
レポート提出の課題が出る度に、以上の様な悪口を書き綴り続けた。

単位取得は諦めた

こんな敵意むきだしのレポートを出してしまっては、単位が出ないだろう。大学での単位は「優・良・可・不可」と評価される。「可」は辛うじて単位をもらえるが、「不可」は文字通り落第だ。謝る事も考えたが、もう後には引けない。
諦めよう。再履修という手もある。来年か再来年、もう1度履修して今後は大人しくしよう。キーキー騒いで文句言って、良い事なんて何もないのは分かっていたはずなのに。

さて、単位発表の日。わたしは「不可」の文字を探したが、「良」と書いてあった。自分の目を疑い、何度も見返した。

先生ごめんなさい。

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