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間借り本屋さんのMyたな⑥~本気のブックレビュー

こちらは、箱根にある本喫茶わかばというブックカフェで、りんご箱一箱分のスペースを間借りして、本屋さんをしている英(あや)の「間借り本屋・奮闘の記録」です。(地味な奮闘)

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❖ どうしても貸本棚に置きたかった本たち

大好きすぎて、どうしても紹介したくて、古書店や新刊書店で手に入れて、わかばさんに置いた本があります!
そんな私に選ばれし本たちをご紹介します(笑)

❖ 『タッジー・マッジー』〈1巻〉山口美由紀・著(白泉社文庫)

本当に大好きすぎて神!(むしろ神以上!)
自分で持っているコミックス(全6巻)と文庫版(全2巻)は、絶対何があっても手放せないので、ブックオフで文庫版を購入して、わかばさんへ置きました。(残念ながら2巻が無かったので、お試し1巻)

作者の山口先生は、絵の丁寧さや、色遣いの魔術師ぶりがめちゃくちゃ素敵☆大好きなのですが、ハッとするセリフ回しとその伏線の回収ぶりが、本当に巧みなのです。
ほっこり・優しい系のストーリーが多い山口漫画。でも、それだけじゃない。
いつまでも胸が熱くなったり、切なさが残るのです。楽しかった夏休みの終わりみたいに。

私は、悩んだり、考えすぎてしまって堂々巡りをしているときは、この作品を読むようにしています。
というか、自然と読みたくなります。
どんなジャンルの本や映像にハマっても、必ず帰ってくる、実家みたいな作品です。
絶対無敵の安心感。

❖ 『ななつのこ』加納朋子・著(創元推理文庫)

母の影響でミステリーも好きでして。
「出身校の卒業生にミステリー作家がいる」と知って、「それは読まねば!」と買ってみたら、見事にハマりました。
北村薫のような、日常ミステリーが好きな方にオススメなのですが、もっと柔らかい、絵本のようなミステリーです。
もちろん、ふわふわとした空想世界の話ではなく、とても現実的な、どうにもあらがえない、いわゆる「地に足の着いた」出来事が、ミステリーの根底になっています。

加納さんのおかげ(?)で、私もなんとミステリー創作に手を出すことに(笑)
まさか私も日常ミステリーを書くことになるとは思いもしなかった、20歳のときに出会った作品です。

❖ 『言葉の園のお菓子番』ほしおさなえ・著(だいわ文庫)

好きな作家さん&自前の本なので、古本として販売することにちょっと抵抗はあったのですが(古本市スタッフでもその気持ちはあるんですよ……)、ほしお先生の作品を知ってほしい思いで、わかばさんへ置きました。

仕事を失った主人公が、亡くなった祖母の導き?で「連句」を体験し、少しずつ言葉を紡いでいくうちに、孤独だった心が繋がっていくという、日々に疲れた人たちに読んでもらいたい物語。
季節と連句会に合ったお菓子を用意するのが、祖母から受け継いた主人公の新たな生きがいになって行くのですが、お菓子にも言葉にも旬があるんだなぁ、と改めて感じました。
四季や伝統の手しごとを大切にする、ほしおさんならではのストーリーです。

ちなみに、ほしお作品では、活版印刷をあつかった『活版印刷・三日月堂』シリーズと、和紙をあつかった『紙屋ふじさき記念館』シリーズが私の超オススメなのですが、これも売りに出せないので、またの機会に☆

❖ 『わたしの美しい庭』凪良ゆう・著(ポプラ文庫)

新品を置いた、というのはこの本です!
搬入前日に新刊書店で購入して、ギリギリ追加しました(笑)

3月まで、ポプラ社ブッククラブというポプラ社主催のnoteのサークルに入っておりまして。
このサークルがとっても凄くて、サークル費1,500円で会費以上のポプラ社の小説が1冊届きます!
オマケに別の文庫本が付いたり、発売前の本が入っていたりと、とにかく豪華でした!(現在休止中。復活希望!)
その「オマケ」で付いてきたのが、この本だったのですが、読み進めるうちに「これは私の永久保存本の順位が変わる!」とすぐに思いました。

縁切り神社が屋上にあるマンションが舞台の短編連作です。
住人が個性的で、血縁のない少女を引き取った家主で神主の若者、その親友で、別れた彼氏に未練タラタラなゲイの男性、高校生のときに亡くなってしまった初カレが忘れられない女性などなど。
神社周りには、家主&神主の若者が世話をする四季折々の樹木や草花が咲く「ここにしかない庭」があります。
生きづらい毎日をこの庭と縁切りさんが見守り、断ち切り、でもここで出会った人たちの縁はじわじわと繋がって行って……。
どうあがいても「みんなと同じように」生きられなかったり、「みんなと同じ」ではないことを自ら選択したり、美しい過去が過去にならなくても、「
それがわたし」と胸を張って暮らして行かれるならそれでいいじゃないか、と、オマケでもらった1冊が思いがけず嗚咽するほど泣いた本だったのでご紹介したかったのです。

❖ ご紹介のさいごに

持ち主の性格に反して(笑)、優しく芯のある本ばかりになってしましたが、読後の心にぽかぽかといつまでも暖かい庭を見つけられるような本たちです。
私のこの想いと願いをこめて、わかばさんの本棚に収めました。
どうか、誰かの手と心に、私たちの本が届きますように!

これにて、「間借り本屋さんのMyたな」はおわりです。
「書く習慣プログラム」から派生して、期せずして6回にもなる記事となりました。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
また間借り本棚の入れ替えをしたら、このマガジンに追加していきたいと思いますので、その時は読んでもらえたら嬉しいです。

さーて、いつになるかなー?笑

<2022.06.21 夏至の日に>
『タッジー・マッジー』の物語のキーワードが「夏至」なので、この日に更新できて嬉しい♡

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