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救国シンクタンク叢書『なぜレジ袋は有料化されたのか』感想&ちょっと思い出 R6.1.20

はじめに

 思い出すのは、令和3年6月くらいだったか、一国民の会ストロングジャパンサミットでお会いした渡瀬裕哉さんから、「内藤先生とレジ袋のことをやるかもしれません」と伺ったのが、救国シンクタンク”レジ研”が始まることを知った最初だった。その後、救国シンクタンクの動画で告知された。
 令和4年2月に、もしかしたら成果が出るかもしれない、という話をきき、それが、令和4年4月の国会での質疑だったと分かった。
 この本はそんなワクワクする思い出がよみがえる、私にとっても大切な本。発刊からほぼ1年が経過してしまった。これまで5回読んだ笑 ここで感想を書いておく。

第一章 規制だらけの国、日本の現状

 気になったポイントは以下の通り。
 ★法律より、省庁の通達が優先!
 ★規制の数が分からない。
 ★規制改革を進める組織の濫立。司令塔が不明。
 ★評価していない。。。省令以下の義務なし。あっても自己評価。
 ★規制増加➡大きな政府

 これらはすべて、税金によって行われている。2対1ルールを導入すること、減税することで規制緩和が進むよう、今後も行動していく。

第二章 一つの規制が出来上がるまでの調査研究

 もちろん、ここで具体的な事例として調査されたのはいわゆる令和2年7月施行「レジ袋省令(正式名称はリンクを参照)」である。
 その根拠法令「容器包装リサイクル法(容リ法)」改正法の大元は30年前の、1995年H7に遡る。
 この間、国際情勢の変化に伴う政治と国内の世論の変化の紆余曲折を経て、現在の「レジ袋省令」に至った経緯が記されている。
 1995年といえば、バブルは終わり”失われた30年”が始まった頃になるだろうか。この頃、子育て真っ最中だったことが思い出された。真面目な専業主婦で、リサイクル大好き。今思えば「環境左翼」的な考えと行動だった。規制の有無に関係なく強烈なマイバッグ派だった笑
 驚いたのは、SDGsのSD(Susutainable Development)が日本発祥であり、それが自衛隊海外派遣に代わる国際貢献として打ち出された政策だったことだ。「環境を守る」という大義名分が日本政府の対面を取り繕うために喧伝されたのだった。そして、この「環境」というキーワードが新たな政治的イシューになり、規制の意味合いが変化する過程が示されている。
 「レジ袋省令」について、救国シンクタンクのレジ袋研究チーム(レジ研)は、その省令の「環境」政策の是非には触れず、成立までの「手続き」に着目した。その結果、省庁の広報が国民に行き過ぎた広報(義務ではなかったのに義務化、としたこと)だったことを明らかにし、副大臣が国会でそれを認め、改善を約束した(動画リンク)。無謬性(絶対に正しいものである)に囚われた官僚が誤りを認める、ということは奇跡に近い成果なのではないか。

第三章 アクティビストのための調査手法

 動画でこの調査に着手することが報告されてから、本当に楽しみに待っていた。

この頃は、研究会ライブは会員限定。こちらはダイジェスト公開版。
ライブは面白すぎて笑 文字お越ししてnoteにしてしまった(著作権に触れたらご指摘お願いします)

起承転結後

 この章では、調査方法が提案されており、その方法に従うと、レジ袋規制がどのように解釈されるか、が記されている。
 調査は、次のような段階を経ていることが定石だ。

起 【動機】なぜこの規制を作ることになったのか
承 【審議会】最初どのような議論が行われたか
転 【審議会】議論の様相が変わったのはなぜか
結 【制度化】どのようにして規制がつくられるのか
後 【事後質疑】立法における問題点はなにか

レジ袋省令は、第二章からもわかるように、根拠法令から30年が経過して現在の省令となった。この30年の間に、承➡転➡結 と段階を経ている。
レジ袋省令はすでに制度化されているので、【事後質疑】の状態である。
今回の成果は、この【事後質疑】により、手続きのあやふやな点が明確になったことで国会質疑として結実し、副大臣答弁の成果に繋がったものと考える。
 ”あやふや”な点を発見するには、審議会の議事録を調査することが必要である。議事録検索には、国会会議検索システム、が有効である。

国会議事録検索ツールリンクを貼っておく。

起承転結後のチェックシート(付録)

 起承転結後は、それぞれについて、さらに分類されている。この分類の説明のために、同じ太字項目タイトルが何度も出てくるので、少々文章構成が分かりにくいと感じた。おそらく、解説とまとめ、という順番に繰り返されているのだと判断したが…… そのタイトルの階層関係が分かる目次になっていると助かるのだが、目次も大タイトルのみの記載だった。目次に起こすには細かすぎる、という判断だったのだろう。渡瀬裕哉研究員の頭の中には、しっかりとこの分類があるのだろう。
 アクティビストとしては実際に規制を調査する場合は、巻末の”チェックシート”に則って必要事項を調査していくのがよいと考える。このチェックシートに当てはめながら、本文に戻って分析する、という使い方がよいのではないか、と考える。
 今後、実際にこのチェックシートを使って調査したら、また感想を書きたい。

おわりに

 レジ袋請願から始まった、私のレジ袋規制を追いかける道。ワクワク夢中で突っ走ったご縁がつながり、本のおわりに、に名前を記していただいて、本当に感謝。レジ袋規制を救国シンクタンクが取り上げてくれないかなぁと願っていたが、本にまでなったことは奇跡。アクティビストとしてこの手法が今後も役立つ場面があることと思う。

まとめの感想

 それにしても、このレジ袋省令は、この一連の流れを解説する、国民にとって最も身近な省令であることがよく分かった。
 レジ袋省令は、憲法違反を指摘される懸念があった。それを避けるための措置を施そうとしていたが、省令を国民に強く推し進めたいパワーが強く働き、行き過ぎた広報をしてしまったのだ。まさか、そのことに気づく国民など居ない、と考えたのだろうか。 
 根拠法令改正から30年経過する間に、その法律の【動機】の状況が変化しているにもかかわらず、規制をすることが目的化し、大義名分的理由付けが審議会でなされていることが議事録から読み取れる。そして最初の【動機】の理由からは程遠い規制が【制度化】される。「ためにする」理由づけには、どこかに矛盾や正当化するための解釈が加えられる。だから立法上の「ほころび」が出てくるのだろう。
 結果として、国民の生活や環境への配慮、という当初の目的には全く関係のない規制が出来上がった。時代の変化のスピードが速い昨今では、なおさらこの状況変化への対応はコストが嵩む一方ではないのか。時代遅れの規制の存続に血道をあげ、税金を消化している有様を知ると、減税しかない、という気持ちにならざるを得ない。
 縁あって、何かの法律を調査研究することになったアクティビストには、ぜひこの本を道しるべとして利用していただければ、と一読者として願う。

減税あやさん♡

追伸 マガジン「レジ袋規制を追いかけて」もご参考になれば幸いです!

記念写真!笑

救国シンクタンク第6回フォーラム(R5.2.12)での即売会にて著者のお二人と 

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