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藝泊レポートVol.3「アイデアをフィールドと繋ぐ~延長戦~」

2020年12月8日、藝泊の第三弾を開催しました。

<藝泊とは>
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される昨今、観光業そのものが大きな業態変換を迫られる中、[未知]の作り方を研究し社会実装するAX ULTRA LABが、観光の主軸の体験である宿泊体験にフォーカスし、新たな価値創出を行うプロジェクト。
プロジェクトの舞台は日本の観光の中核都市・京都。
京都芸術大学と、京都のブティックホテルHOTEL SHE, KYOTOと連携し、リサーチや提言に止まらない、「宿泊のアート体験」の社会実装を行います。AX ULTRA LABのコンセプトである産・学・藝の垣根を超え、宿泊のAX(Art Experience ™)を創出していきます。

前回は、”泊まれるアート”の舞台であるHOTEL SHE, KYOTOへの実装を踏まえ、昇華させることを目的としていましたが、アイデアを短時間で深化させるのは、なかなかに難易度が高く時間切れ。

今回はその延長戦として、回の最後にはチーム以外の第三者に対して、チェックイン〜チェックアウトまでを演劇形式で発表、実際に体験してもらうことで、客観的なフィードバックをもらうことがゴールです。

また前回より、ラボメンバーが各チームに一人ずつ、オブザーバーとして加入。
今回の第三弾開催までに臨時MTGを実施し、アイデアの体験としての面白さを、よりシンプルかつシャープにした上で臨みました。

前回の内容はこちら

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■文字ベースで考えてきたアイデアを”宿泊体験”に落とし込む

まずはモデレーターとまとめていたアイデアを、演劇発表までの時間でじっくりとブラッシュアップ。

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今までは宿泊のシチュエーションを想像しながら、文字ベースでアイデアを固めてきましたが、実際に一堂に会し、ホテルスタッフ・宿泊者役に分かれ、いざデモンストレーションすると、「あれ?」といった違和感が数多く出てくるもの。

その違和感の一つ一つを掬い、ポストイットなどでひたすら洗い出していきます。

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そして、どうすれば宿泊体験として成立するのか、その中にどのようにAXを組み込んで”未知性を孕んだLEAPな体験”に落とし込むのかを、時間が許す限り議論し合いました。

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当初のタイムテーブルでは、25分×2セットの計50分間で発表に移る予定でしたが、最後の一捻りを生み出すため、泣きの25分を延長。

因みに、この記事を執筆している私のチームでは、上記議論を踏まえ、用意してきたアイデアが180°違うものになりました。

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■演劇発表によって、客観的なフィードバックを溜めていく

小休憩を挟み、いよいよ演劇形式での発表タイムです。

京都芸術大学の先生方、並びに各チームから1名ずつテスター要員を出し、実際に体験をした際に宿泊者が思うことを、それぞれフィードバックしていきます。

未知生のあるポイントは褒めつつ、宿泊体験として成立しない部分や、体験を通して出てきた疑問点にも率直な意見が飛び交いました。

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テスターから受けたフィードバックは、各チームそれぞれヒアリングシートに溜めていきます。

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今回用意したヒアリングシートの項目は下記の通り。

<ヒアリングシート項目>
- WHATの質問:「何を」に続く質問を考えて書きましょう
(例. **したとき、何を考えましたか?や何を感じましたか?など)
- WHATの回答:「何を」の質問への「回答」を聞いて書いてください
- WHYの質問:「なぜ」に続く<質問>を考えて書きましょう
- WHYの回答:「なぜ」の質問への「回答」を聞いて書いてください
- 自由質疑:その他、自由な質疑を行って質問と回答を書き入れましょう

演劇形式での発表内容とフィードバックを一部抜粋して、ご紹介します。

【身体チーム~言葉を感じるホテル~】
●発表内容
★チェックイン
 - インスタ経由でネット予約し、お守りを受け取る
★宿泊中
 - 絵の具に入ったアイスが食べれる
 - 部屋では明日のプランを考えたり、お風呂に入ったりとだらだらと過ごせて、言葉だけでできた短編映画を観賞できる
★チェックアウト
 - 宿泊者自身の名前を残す(半分に割ることができる)
 - お持ち帰り用のお守り袋を受け取利、そこに先ほど割った片方を入れる

●フィードバック①
- WHATの質問
 - 絵の具アイスの体験をどう思ったか?
 - 言葉を残す体験をどう思ったか?
- WHATの回答
 - 映えるな!混ぜるな!
 - もっと残したい!!宿泊全体でもっと言葉に残していくのは?仕掛けが大事!!
- WHYの質問
 - 宿泊者だったら、なぜこのホテルを選ぼうと思うか?
- WHYの回答
 - 他のホテルでは絶対に体験できない新規性があるから。
- 自由質疑
 - 言葉という軸に全てをよりリンクさせていくべき。
●フィードバック②
- WHATの質問
 - 絵の具アイスの体験をどう思ったか?
 - 言葉を残す体験をどう思ったか?
- WHATの回答
 - 美味しさのイメージがつかなかった。
 - 他の人の言葉を残せるなら面白いかもしれないと思った。
- WHYの質問
 - 宿泊者だったら、なぜこのホテルを選ぼうと思うか?
- WHYの回答
 - 絵の具アイスに惹かれる方が多そう。
- 自由質疑
 - 絵の具アイスと言葉の関連性は弱いように感じる。
 - せっかく言葉を使えるのに、ガツンと来る強い言葉が見当たらない。

実際に第三者に体験してもらうと、今まで囚われていたこだわりや、良いと思っていたアイデアも宿泊者に伝わらなかったり、そもそも宿泊体験として成立していない部分が判明することもあり、気づきの多い時間となりました。

参加された学生さんからも、「客観的な意見によってアイデアが洗練されていくのが実感できて嬉しかった」、「思いもよらないフィードバックに新たな発見があり有意義だった」、といった声をいただきました。

その後も各チームごと、会場の時間ギリギリまで改善の議論が繰り広げられ、第三弾は終了となりました。

■アイデアをHOTEL SHE, KYOTOの方に見てもらい、5つのアイデアを統合・洗練させていく

ブラッシュアップしたアイデアは、いよいよHOTEL SHE, KYOTOの担当者にお渡しし、ホテルでの実現可能性も踏まえ、率直なご意見をいただきます。

次回の藝泊では上記のご意見も活かしつつ、「食」「身体」「物語」「記憶」「ファッション」それぞれのチームのアイデアを更に高めていくため、ラボメンバーと学生さんとで合同ディスカッションを実施。

それぞれの良さを引継ぎつつ、最終的には2~3個のアイデアへと絞り込みを行う予定です。

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引き続き、本noteにて上記「藝泊」の取り組みに関して発信していきます。

“[未知]のつくり方」を研究し、社会実装する”というとてつもなく難易度の高いテーマですが、試行錯誤しながらもアジャイル的アプローチで、「未知をつくる」を実現していきます。

今後の取り組みに、ぜひご期待ください。

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