スイッチ
わずかな光しかない部屋は
何もかもがわずかしか見えない。
わずかに見えるものに想像を加えた
自分の目で見る世界。
自分の居心地のいい世界。
そこへ明るい照明のつけると
全てが明るく照らされて
今まで見えなかったありのままの姿が見える。
そして、
全てがしらけてしまう。
今まで気付きたくなくて
気付かないふりをしていた自分。
私にはこれが幸せ。
そう思っていたかっただけ。
うすうす気付く心に気付かないふりをしていただけ。
でも彼の一言で全てが明るく照らされた。
照らされた部屋は
私の想像していた部屋とはずいぶん違っていた。
気付かないままが幸せだったのかもしれない。
それでも、一度照らされたありのままの姿は
再びスイッチを切っても脳裏に焼きついたまま。
振り払いたくても振り払えない。
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