映画「お嬢さん乾杯!」を観て:自己愛の意味
1949年の松竹映画「お嬢さん乾杯!」。監督は木下恵介。時は戦後の混乱期。没落貴族の令嬢ともいえる原節子と、戦後成金の佐野周二のラブコメディーですが、実は深い。ステレオタイプからずらした脚本が秀逸です。(脚本:新藤兼人)
粗暴な成金の佐野は、「天上の美女」の原に一目惚れ。叶うはずないと思った求婚に、「はい」との返事。驚き、舞い上がる佐野。しかし、原の自宅(豪邸)で家族に紹介された佐野は、身分の違いにたじろぐ。やがて、結婚が金目当てだとわかり落胆する佐野。一方の原は、家のため