「コーチになりたい」の奥にある欲求③理想実現欲求がある人の強みとぶつかる課題、乗り越え方
コーチングを学びたい・コーチになりたいという方の中には「コーチになれば理想のライフスタイルが実現できる!」と考えている方も多くいらっしゃいます。
時間や場所にとらわれずに自由に生きる。
それは誰しもが心のどこかで少なからず憧れていることかもしれません。
理想のライフスタイルを実現したい・理想の自分になりたいという欲求はとても自然なものです。
しかしその欲求が強いがゆえにぶつかってしまう壁もあります。
今日は理想実現欲求を持つ人の強みやぶつかりやすい課題、課題の乗り越え方をご紹介します。
1. 理想実現欲求がある人の強み
理想実現欲求がある人の強みは、何と言ってもその推進力の強さです。
理想実現欲求が強い人は、理想を実現するために、様々な書籍やメソッドを活用していることが多くあります。
理想の状態を鮮明に思い描き、それに対して、「理想を実現するために、いつまでにあれをして、これをして…」と、中長期の計画を立てることができているかもしれません。
「自分ができること」という基準でどんどんと行動を具体的にし、コーチングスクールやコーチングの勉強方法も「えいっ!」と短期間で決めることができる傾向にあります。
コーチングの学びを自分のものにするためには、学びながら実践していくことが不可欠ですが、「まだ学んでいる途中なのに実践をする」ということを躊躇してしまう方も多くいらっしゃいます。
そんな中、「理想を実現するぞ」という想いが強いと、「この先に自分の理想があるんだ」という期待がモチベーションとなり、学びながらの実践をどんどんと行なっていくことができます。
さらに一般的にコーチングの学びと実践のときに障害になるのは、コーチングをする相手を見つけることの難しさです。
「完璧でないといけない」「下手だと思われたらどうしよう」「迷惑だと思われたらどうしよう」など、色々な心の声がブロックとなり、気軽に人に声をかけられないということも多くあります。
しかし、理想を実現したいという強い想いがあると、心のブロックを越えて人に声をかけていけるようになります。
実践ができると、コーチングはどんどんと上達していきます。
2. もっと速く理想に近づきたい!という想いが空回りすることも…
「理想を実現したい!」という想いはコーチングの学びと実践、上達を強力に後押ししますが、一方で、その想いが強いほどにぶつかる課題というのもあります。
コーチングスクールの中では、コーチになるためにまずは自分が自分と深く向き合うことを後押しするという方法を取っていることもあります。
もしくは、たくさんの受講者が横並びでコーチングスキルを学んでいくというスタイルもあるでしょう。
「自分の理想を実現したい!」という想いが強いと、自分自身と深く向き合うことや、基本的なスキルから一つ一つ学びが進んでいくことを退屈に感じることもあるかもしれません。
自分自身が「理想を実現したい!」という人にとって、目標達成の後押しをするコーチングは、とても魅力的な取り組みに見えます。
そのため、自分自身が目標達成に関心が強い人は、気づけば相手にもゴリゴリ目標に向かうための行動を明確にするコーチングばかりを行なっているということが起こります。
しかし、中には「行動を決めたけれど実行できない」という人もでてくるでしょう。
人にはそれぞれ、そのときどき大切なテーマや適切なスピードがあります。
行動の裏にある感情や価値観にしっかりと向き合ったり、行動の土台となる自己自身の状態がととのっているかに目を向けないまま目標達成だけにフォーカスしているとクライアントが上手くいかないということも起こります。
コーチングの上達には、とにかくたくさんの実践をすることが大切だと言われています。スクールの中には資格取得のために「○人にコーチングする」というのが必須となっている場合もあります。
確かに、コーチングの上達のためにはたくさんの実践が必要です。
しかし、経験を成長の機会に変えるためには、経験したことを振り返る内省のプロセスが不可欠です。
学習を後押しする内省のプロセスについてはこちら▼
自分自身のコーチングがどうだったのかということを振り返らなければ、いくら数をこなしても、コーチングの質が上がっていかないままになってしまいます。
3. 実践を続けるときにぶつかる課題
さらに、コーチングをどんどん実践していこうとするプロセスでぶつかる課題もあります。
理想実現欲求は、人を「前へ前へ」と向かわせようとします。
自分自身の理想の実現に向けてどこまで来ているか、さらに何をする必要があるか。
もしそんなことばかりに意識が向くとどうなるでしょうか?
「コーチングとしてはしっかりやってくれているけれど、この人は本当に私に関心を持ってくれているのだろうか」
ということをクライアントは感じるかもしれません。
相手の関心がどこに向いているかというのを人は、敏感に感じ取っています。
「型通りのコーチング をこなすだけのコーチ」では、クライアントはセッションの際に安心感を感じ、自由に表現し、その後、思い切ってチャレンジをするということができなくなってしまうでしょう。
コーチングの質が上がらないと、リピートや口コミが起こらないためにコーチは常に新しいクライアントを探し続けないといけないということが起こります。
そうすると、必死にプロモーションをし、気づけばそれに膨大な費用がかかっていたということが起こってしまうかもしれません。
これは、理想実現欲求が強い人以外にもコーチになりたい方には起こりうることです。
なぜかというと、コーチになりたい人の多くは「コーチングをする」のが好きや得意な一方で、集客や営業が得意でないという方も多くいるためです。
そんな人にとって「集客や営業をしなくていい」というプロモーションの講座などの謳い文句はとても魅力的に映るでしょう。
しかし、自分にとって適切な方法を選ばなければプロモーションに費用をかけ続けないといけないといけなくなってしまいます。
プロモーション費用を稼がないといけない、そのためにコーチング をする。これではもう何が何だか分からなくなってしまいます。
そして、理想実現欲求が強い方に最も多いのが、自分自身を「理想を実現している自分」としてブランディングすることによって集客をしようとして結局疲れてしまう、ということです。
4. 自己一致、していますか?
カウンセリングの大家である心理学者のカール・ロジャースが唱えたカウンセラーにとって大切な姿勢の一つに「自己一致」というものがあります。
これは、コーチにとってとても大切な在り方です。
これは、「ありのままの自分を受け入れていること」とも言い換えられます。
コーチがもし、自分が心の中で感じていることに気づいていなかったり、それを受け入れていないと、無意識に対してクライアントに対して防衛的になったり支配的になったりするということが起こります。
例えば、コーチが他者から「評価されたい」という気持ちがあるのにそれに気づいていないとき。「コーチングを上手くいかせないと!」と躍起になり、クライアントの本当の気持ちに気づけないかもしれません。
また、コーチの心と言葉と行動が一致していなければ、クライアントがコーチに対して心からの信頼を向けることは難しいでしょう。
自分を必要としている人と出会うために自分自身の特徴を伝えようとすることは決して悪いことではありません。
しかし、それが行き過ぎて、実現していない「理想の自分」を見せることに必死になってしまったら、それは自己一致とはかけ離れた姿になってしまいます。
5. ぶつかる課題の乗り越え方
理想実現欲求がある人がぶつかる課題を乗り越えるためにはどうしたらいいのでしょうか?
まず大事なのは、「自分が本当に実現したいことと向き合う」ということです。
そもそもあなたがコーチになりたいと思ったのはどうしてだったのでしょうか?
・時間や場所にとらわれない自由なライフスタイルを実現したい
・少ない時間で多くの収入を得たい
・人に憧れられるような暮らしをしたい
つまりあなたは、「コーチになりたい」のではなく、「コーチになった結果手に入る(と思われるもの)を手に入れたい」のではないでしょうか?
もしかするとコミュニケーションが苦手という方はコーチの取っているコミュニケーションに憧れているのかもしれません。
自分自身が本当に手に入れたいものとそう思う背景に気づかないまま、目標らしきものに向かっていると、そのプロセスでも結果としても満たされないということが起こってしまいます。
まずは、「自分は本当は何を実現したいのか」「なぜそう思うのか」についてしっかりと向き合ってみましょう。
もしかしたらあなたが手に入れたいものは、コーチになること以外でも、実現することができるかもしれません。身近なところにすでにあるかもしれません。
そして、理想実現欲求が強い方にとってもう一つ大切なのは「今の自分を受け入れる」ということです。
理想というのはそれを強く思い描くほどに、そこに向かう力が出てくる一方で、現在の自分に対する満足度が下がったり、今の自分を受け入れられないということが起こってしまいます。
その状態だと「これをやれば上手くいくはず」と、必要以上にスクールやマーケティングにお金をかけることになってしまうかもしれません。
また、コーチが自分自身を受け入れることができていない場合、クライアントもそんなコーチの前で自分自身を受け入れることが難しくなってしまいます。
理想を持ちながらも、まずは今の自分自身を受け入れるということ、自分にとって本当に大切なことを確認することから始めてみてください。
そのためにおすすめのなのが、コーチをつけるということです。
コーチには大きく2種類のコーチがいます。
・特定のスキルを教えるコーチ(コーチングやマーケティングなど特定のスキルについての講師)
・特定のスキルを教えないコーチ
どちらも対話を中心としたコーチングスキルを活用して、クライアントの前進を後押ししますが、前者はクライアントが特定のスキルを獲得するために専門知識や方法を教えることを多く行うという特徴があります。
それぞれのコーチに特性や適した場面があります。
そんな中、理想実現欲求が強い方はまずは、特定のスキルを教えないコーチのコーチングを受けることをおすすめします。方法論にとらわれず、まずはあなたが実現したいことと深く向き合ってみてください。
(どちらもできるというコーチもいますので、そのコーチがどんなテーマのコーチングが得意か、どんなオプションを持っているのかなど、よく見て検討してみてくださいね!)
6. あなたの「なれる!」が、誰かの「なりたい!」の後押しになる
「理想の自分を実現したい!」という欲求を持つ方の強みとぶつかりやすい課題、乗り越え方をご紹介してきましたがいかがでしたか?
コーチになった結果手に入れられるものはたくさんあるかもしれませんが、私自身は様々な人の人生を、共にあゆむことができることがコーチという仕事の何よりの醍醐味であり喜びだと感じています。
自分を良く見せようなんてしなくて大丈夫です。
あなたが挑戦をしている姿は自然と周りの人に勇気や希望を与えているはずです。
あなたが自分の理想を実現していけることを信じているように、あなたが誰かのことを「想いを実現できるはず」と信じることは、その人にとって大きな後押しになります。
自分を信じて、目の前の人、一人一人に向き合っていってください。
あなたの挑戦を心から応援しています。
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欲求は、一つだけでなく複数持っているということも多くあります。
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