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具体的な行動イメージが湧きづらい人には どんなアプローチをしたら効果的ですか?

草(そう)さん、こんにちは!
先日クライアントさんとのセッションだったのですが、クライアントさんは大きな夢や目標、そしてビジョンを描くことはできているものの、具体的にどのようにやっていくのかということや、誰に対して働きかけるのか、誰と協力していくのかといったようなことに関して明瞭になっていない印象を感じました。

次回はプレコーチングで、向かっていくゴールを確認したりそのプロセスを描いていきたいと思っているのですか、どのようにしたら効果的でしょうか?

目的やゴールに関しては、以前のオリエンテーションでかなり聞けたので今回はそちらの方を深掘りするより、行動に落とし込めるような質問をしていったらいいかなと思っています!

ただ、まだプレコーチングの段階なので目的やゴールをしっかりと、話すことが好きなクライアントさんが心行くまで話してもらってたほうがいいのかなとも思い、迷っています。アドバイスいただけたら嬉しいです。

新米コーチより

「昼休みニンゲン科学相談室」では、コミュニケーションや人間関係にまつわるちょっとしたお悩みのご相談に脳科学や心理学・コミュニケーション学等の観点からお答えしています。

1. それぞれの取り組みの位置付けは何か

こんにちは!

ひとりひとりと向き合って丁寧に進められていることを感じます。

ちなみに書いていただいたこと以外に、今浮かんでいる選択肢はありますか?

あと、書いてくださった「プレコーチング」はどのような位置付けで行われていますか?「オリエンテーション」や「通常のセッション」はどんな違いがありますか?より良いイメージができるよう、よかったら教えてください。

他の選択肢として、例えばプレコーチングの目的(行動を明確にしてどんなふうに進んでいけばいいのか一緒に考えて同意をとる)を確認すると言う事をまず最初にお伝えした後に、この時間はどんなふうに過ごすってしたらこの目的を達成できそうか聞いて、そこから一緒にセッションの内容を考えていくこと。それから、セッションが終わった時に6ヶ月後のゴールに向かうために、どんなプロセスをたどればそこにたどり着きそうか3つか4つのテーマを設定してもらったり、ゴールへ向かう目的や目標を記入してもらうシートを用意しているので、それをご自身で記入できるようにしてね、と伝えた上でセッションを始める事を考えました。

また、私は

オリエンテーション
これから始まる2人の関係性をより良くするため・コーチングに関しての共通認識を取るためのもの

プレコーチング
これからどの方向に向かって進んでいくのか、ゴールをお互いに確認して同意を取ったり、そこに向かうまでのプロセスをデザインする時間

フォローセッション
ゴールに向かって進んでいく中で、現状でどこまで来たのか、前のセッションから今回までの気づきや学びを振り返り、そして今後どうするのかということを確認していく場。定点的に観測していく場

という様に使い分けています。草さんに話してみて、最初に目的を伝えてから一緒にどんなふうに進めていきたいのか相手ベースで進めていけばうまくいくかもと思いました!

いいですね!確かに、ビジョンを描くのが得意な方は自分でアイディアを出すのが好きで、決まったフォーマットで進められるのはモチベーションが上がらないかもしれません。これでもう答えが出ましたかね笑

何か別の選択肢があるとするとということで考えてみますね!

<今回のポイント>
・「行動を明確にする」ことは本当に必要か?
・「どうしたら上手くいくか」はクライアントが知っている。(が、自覚がない場合がほとんど)

2. 行動をするためには必要なものは何か

改めてご質問ありがとうございました。


いただいた内容を基に、改めてクライアントさんのことをイメージしてみました。まず大切なのは、「何がクライアントさんの行動促進につながるのか」ということです。

(ちなみに書いていただいた「プロセスを描く」や「プロセスをデザインする」というのは「行動を明確にする」というのとほぼ同じ意味だと捉えていいでしょうか?その前提でお話を進めていきます。)

具体的な行動をイメージすることは確かにその方法の一つだと思います。しかし、全ての人が、具体的な行動をイメージすればその通りに行動するかというとそうではありません。「具体的な行動をイメージするよりも、どうなっているかのゴールイメージを想像する方がやる気が出て、あとは自分で行動していくことができる」という方もいらっしゃいます。

ただしその場合、目標やゴールがあまりに現状とかけはなれていると、「やる気はあるんだけど、結局具体的にどんな行動をしたらいいか分からない」ということが起こります。

3. クライアントの現状と特性に対して今何が必要か

そのときは、最終的なゴールの手前のマイルストーン(節目の目標)を複数設定することがおすすめです。

○理想の状態を10点満点の10点だとすると、現状は何点くらいですか?
○現状から1点上がっているのはどんな状態でしょうか?

というように、理想と現状の間の「状態」をより具体的に想像してもらうのはどうでしょうか。「行動」に重きを置くと、それが上手くいかなかったときにすぐに諦めてしまうということが起こるかもしません。マイルストーンとして「状態」を設定しておくと、一つの行動が上手くいかなくても別の選択肢を探すことができます。点数は必ずしも1点刻みでなくても構いません。

「具体的な行動をイメージできない」というのは、理想としている状態が漠然としているか、現在との距離が遠すぎるように感じることから起こります。もしくは、その間に、障害となるものを漠然と思い描いているのかもしれません。障害を取り除くことを想定しつつ、理想の状態を現在に近づけて行き、程よいところで具体的な行動を設定してもらうのがいいかもしれません。

ビジョンを描くのが好きな方は

○15点のときはどんな状態ですか?

と、さらにその先を描いてもらうことでエネルギーがさらに上がる場合もあります。

細かく刻んで

○今より0.5点上がったときは今と何が違っていますか?

と聞くこともできます。

○10点になるプロセスを通じて得ることはなんですか?

という質問で、自分自身の成長や変化をイメージしてもらうこともできます。

4. コーチ自身が思い込みを持っていないか

ところで…

「具体的な行動を設定しておかないとクライアントさんは行動できないかもしれない」というのはコーチの思い込みかもしれません。「どうしたら上手くいくか」はクライアントさんが一番良く知っているはずです。これまでどうやって目標を達成してきたか、それはどうやって上手くいったかを聞いてみるのもいいですね。

「クライアントは自分の人生のプロフェッショナルである」ということを信じて、上手くいく秘訣をたくさん引き出せるといいのではいいのではと思いますがいかがですか?

またぜひお話し聞かせてくださいね!

<まとめ>
・「これまでどうやって上手くいったか」をクライアントに聞いてみる。
・「行動」より「状態」を明確にした方が良い場合もある。
・数字を活用して、イメージの距離(先の未来のことなのか、すぐ近くの未来のことなのか)を調整してみる。

*コーチングの進め方には様々な種類があります。クライアントとコーチは、コーチングセッションを何のために活用するのかに合わせてセッションの進め方や内容を決めていくことになります。

*個人的にいただいたご相談を元に相談者の許可を得て、ご相談内容を編集したものに回答を記載しています。通常のコーチングセッションでは、お悩みの相談をお受けすることやアドバイス・セッション内容の公開は行なっておりません。

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