正解を考えさせるのだけが質問じゃない 相手の成長を後押しする3種類の質問
リモートワークになり、チームメンバーや部下とコミュニケーションを取れる方法や時間が限定的になる中で、相手が自ら成長していくことを後押しするコミュニケーションを取ることが必要とされている管理職の方も多いのではないでしょうか。
今日はそんな方に、「相手の成長を後押しする3種類の質問」をご紹介します。
<こんな方に>
・リモートワークでやりとりが業務報告だけになりがち
・部下とコミュニケーションを取れる時間が限られている
・限られた時間の中でのコミュニケーションで相手の成長を後押ししたい
・手取り足取り教えたいけどそうもいかない
・やり方を教えてもできるようにならずに困っている
・質問を活用したいと思っているけれど何からはじめればいいか分からない
こんな人が書いています。
1. 質問されると何が起こる?
まずはぜひ振り返ってみてください。
あなたは今日、誰にどんな質問をしましたか?
その質問は、相手にどんな影響を与えたでしょうか?
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こんな風に質問をされると、「どうだったかな?」と考えますよね。
「それについて相手が注意を向ける」というのが質問の持つ大きな力です。
そして、「注意を向けることが継続する」というのも質問の特徴です。
人間は、完了したことは忘れやすく、未完了なことほど覚えているという性質があります。
答えを教えてもらったことより、答えが分からないことの方がそのことについて考える機会が多くなるんですね。
「あ、今、私、質問しているな」
「これって相手にどんな影響を与えるんだろう」
ここまで読んだあなたはきっと、この先数日間、自分の質問にアンテナが立つことになるはずです。
では
・注意を向ける
・向けた注意が持続する
という特徴がある質問を、どんな場面に活用すればいいでしょうか。
1. 「意識してね」と言う代わりに…
例えば、資料の説明やプレゼンテーションなどで、自分が話すことだけではなく、相手の反応も意識するということを身につけてほしいとき。
「意識してね」と言いたくなりますが…
▼相手はどこで表情が変わった?
と聞いてみるのはどうでしょう。
相手の成長を後押しする質問1:対象に注意を向ける質問
例:
▼今日は何に力を入れて取り組む?
▼分かりやすく説明をしている人は何をしている?
さらに
▼ちゃんと伝わっているときは、相手はどんな表情をしている?
▼相手が本当に興味があるときは、どんな声のトーンになる?
など、より、具体的なシーンに注目することもできます。
2. 「できた!」を見つけるアンテナを育てる
具体的なシーンについて質問をする場合、「望ましい結果」に着目するのがおすすめです。
なぜならもし「伝わっていないときは、相手はどんな表情をしている?」と聞くと、「伝わっていないとき」にアンテナが立つようになるから。アンテナが立つと、その場面がどんどん目に飛び込んでくるようになります。
上手くいかないことばかりが目に飛び込んでくるとせっかくのやる気がしぼんでいってしまうかもしれません。
「なんでできないの?」ということを聞かれていると、「できないこと」と「できない理由」ばかりを探すようになってしまいます。
「できた!」という体験をするためにも「できた!を見つけるアンテナ」を育てていくことを後押ししましょう。
相手の成長を後押しする質問2:上手くいっていることを見つける質問
例:
▼どんなときに集中できてる?
▼前回より上手くいったことは何?
3. 上手くいったことの再現性を高めよう
そして「できた!」という体験が生まれたときにおすすめなのが「どうやって上手くいったか」を聞くことです。
私たちは普段、自分の思考や行動に細かな注意を向けていないことも多くあります。
そんな中で、どうやって上手くいったかに注意を向けることで、自分の思考や行動を振り返り、その再現性を高めることができます。
また、上手くいくように自分なりの工夫をしたり、意識をしていたということもあります。
▼どうやって上手くいったの?
▼どんなことを意識したの?
▼どんな工夫をしたの?
上手くいったときはぜひ、こんな風に聞いてみてください。
相手の成長を後押しする質問3:上手くいったことの再現性を高める質問
上手くいかなかったときも、
▼どこまではできた?
▼どんなことを意識していた?
▼次はどんな工夫ができそう?
など、質問を使って次に向けた後押しをすることもできます。
まとめると
<相手の成長を後押しする質問>
1:対象に注意を向ける質問
2:上手くいっていることを見つける質問
3:上手くいったことの再現性を高める質問
この3つのステップを繰り返すことで、常に一緒にいなくても、相手が「自らできるようになる」ということを後押しすることができます。
4. 質問に対する思い込みを手放してみる
ここまで読んで「質問が効果的なのは分かったけど、やろうとするとなかなか上手くいかない」という方もいらっしゃるかもしれません。
質問をすることが上手くいかない、抵抗があると言う方は、質問に関して大きく3つの思い込みがあるように思います。
<質問に関する3つの思い込み>
①相手が答えられることを聞いたほうがいい
②同じことは何度も聞かないほうがいい
③答えを教えないと自分が信頼されない
①相手が答えられることを聞いたほうがいい
質問をしても、相手が答えられなかったらなんだか気まずいな。
相手が答えられないと質問をしてもあまり意味がないんじゃないの?
と思われるかもしれません。実際には、相手が答えられなくても大丈夫です!
最初にお伝えした通り、質問の効果の一つは「向けた注意が持続する」ということ。むしろ、その場ではハッキリと答えられないことの方が「実際どうかな」と、注意が向き続けます。
リモートワークでもそうでなくても、相手の様子をずっと見ておくことはできないですよね? 一緒にいない時間にも相手が自分で学びを深めていくために、その場で答えを出すための質問ではなく、効果が持続する質問をぜひ活用してみてください。
②同じことは何度も聞かないほうがいい
質問の効果を高める秘訣は、「繰り返し聞く」ということです。
え?繰り返し聞いたらしつこくない?と思われるかもしれません。
大丈夫です!人は、繰り返し聞かれることによってそこにアンテナが立つことが定着していきます。「相手はどんな言葉に反応してた?」とプレゼンの後に繰り返し聞いていると、最初は答えられなくても、だんだんとそこに意識が向き、答えられるようになります。
自分が気にするほど、人は気にしていないもの。相手の成長の後押しになるように、同じ質問も、何度でも投げかけましょう。
③答えを教えないと自分が信頼されない
質問をしたら「教えてくれないの?」って思われるかもしれないと不安になるかもしれません。そうですよね。でもやっぱり、大丈夫です!
質問をするというのは、「あなたはそれを自分で見つけることができる」というメッセージでもあります。もちろん、投げやりな質問や、自動的な質問ばかりしていては信頼を失ってしまうことになりますが、相手にしっかりと向き合い、質問を投げかけることは信頼関係を築くことにもつながっていきます。
5. 成長を後押しすることの障害になる大きな思い込み
質問に対する思い込みとともに、私たちが他者の成長を後押しするときに障害になる大きな思い込みがあります。
それは・・・
成長はすぐに起こる
という思い込み。
「教えればできるようになる」
「一度できたことは何度でもできる」
「やる気があればできる」
そんなことないんです。
子どもを見るとそうですよね?
教えてもできないことがたくさんあるし、一度できたことでもいつでも同じようにできるとは限らない。やる気満々でもできないことがある。
成長って、時間がかかるんです。
一方で私たちは「自分ができるようになったことは、できなかったときのことを忘れてしまう」という性質もあります。
だから「できないについて理解ができない」というのも自然なこと。
相手が「できない」ことにイラっとしてしまう自分が「ダメな自分だ」なんて思わずに、
「『できない』ことも、『できないことについて理解できない』ことも人間らしいな」なんて思いながら、相手と自分の成長を見守っていただければと思います。
次回は、不安と行動の関係、行動が起こるまでのステップについてご紹介します。
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