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Autonomy(自律)

 自律を英訳するとAutonomyと出てきます。オートノミーは、もともと「自分で自分に自身の法を与える者」という古代ギリシャ語に由来する概念で、一般に自主(性)・自律(性)・主体(性)・自治・自己決定権などを意味し、政治・道徳・哲学・心理学・医学・宗教・人事・人権などの幅広い分野において、複数のそれぞれ異なる、または複合的な意味をもつ基礎概念であると書かれています。(Wikipedia)
 自立の英訳はindependenceとされることが多く、インディペンデンスは「独立」を意味します。
 日本語で言う自律と自立の違いは、自律は「自分で立てた規律にしたがって自らの行動をコントロールすること」で自立は「他者からの援助に頼らずに自分だけの力で物事を行うこと」を意味します。
 他者の力を借りることも自分で決めたことであれば自律的であると言えます。
 では仕事において自律的に仕事をするとは何でしょう。

自律的に仕事をする

 米国心理学者エドワード・デジとリチャード・ライアンによる自己決定論では動機付けについて以下の段階を示しています。
①外的調整 外部からの罰となんらかの報酬を得るために従っている。人に言われたことに従って仕事をしている。
②外的導入 仕事をする自分を人から認めてもらいたい、仕事をしない不安や罪悪感、恥をかきたくないなどから仕事をしている。
③同一化調整 外部からの影響を受けつつも、仕事の価値を理解しようとし、将来自分のためと思い仕事をする。
④総合的調整 自分にとって仕事は価値ある、意味あるものとしてとらえ行動している。
⑤内発的動機付け 自分の意志で自発的に行動し、やりがい・楽しさ・面白さを感じている。

 ①の前段階で無動機付け やる気がない動機付けがない状態で活動している段階も示していますが、ここでは動機付けと自律について考えてみます。
 上記①②は自律的ではないですね。やらされ感があり、常に周りを気にして働き、ストレスを感じやすい状態です。できるだけ変化や新しいことを取り入れたくない現状維持バイアスが起こりやすいとされます。
 ③は自ら進んで価値を見出せば自律的と言えます。④⑤は自律的に仕事をしている状態です。
 と考えると④⑤の人は少なく、やはり多くの人はまだまだ自律的に仕事をしていない社会なのでしょうか。

 

では自律の反対は

 他律ですね、他律とは自分の意思とは関係なく、他人や企業からの命令・強制にもとづいて行動することです。
 米国の経営学者マクレガーが提唱したX・Y理論という動機付け理論があります。X理論とは「人間は本来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」Y理論は「人間は本来勤勉で進んで仕事を行い責任を取ろうとする」です。
 産業革命時代の労働者や軍隊でのマネジメントはX理論にもとづいています。現代そして知識労働者は基本的にY理論でのマネジメントです。
 そうは言っても、命令指示がないと動かない、誰もが皆自律的に仕事を進んで行ってもいない。自律を勘違いして好き勝手に動いていては組織としてまとまらないのも事実です。
 では、何が必要でしょうか。
前述の③の仕事の価値を理解することです。マネージャーの役割は部下にその仕事の価値をいかに理解してもらうかが大きな仕事です。そのためには自分自身が仕事の価値を理解することです。③になると④⑤に近づきます。
 そのためには、
 Why、What、Howです。順番を間違えないこと、Whyからです。何のためにその仕事(What)をやる。それができたらどうなる。ビジョンや目的を示すことです。Whyが一致していれば、勝手にバラバラ動くこともありません。そのあとに具体的なHowをその組織に合わせて構築していく。TRYを繰り返す、小さなチャレンジをつぶさずにいかに生み出していくのかを追求する。
 自律的キャリアが歩める人材を育てていくのは、職場で仕事の実務経験を通して育てるものです。
 そして自律的な組織とは、その中のメンバーが自律的に仕事をしている状態の組織のことです。


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