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16歳、若ハゲ

16歳からハゲ始めた友人がいる。
人間、しっかりした髪の毛が生えそろうのが4歳から5歳頃と言われているらしいから、その友人はおよそ11年しか髪の毛との交際がなかったわけだ。
男子が色気付くのが12、3歳だから、本音で髪の毛と向き合っていた時間はおよそ3、4年だ。

「ハゲとは結果ではなく過程である」

そう言ったのはコラムニストの神足裕司氏。この言葉はハゲに対する抵抗、恐怖、諦め、等々を示している。これはハゲの心をよく表現できているとされている。
氏はその見事な禿頭をそびえさせているどころか、飛行機搭乗中にクモ膜下出血を起こしてしまい、外も中も大事に至ってしまった。本当、大事にして欲しい。

それにしたって、あまりにも気の毒じゃないか。
神足裕司氏の頭も気の毒だが、友人は髪と向き合った時期が3、4年だし、16歳からずっと「ハゲる過程」と向き合っているし・・・本当に気の毒だ。
女性で「全然ハゲを気にしない」と言う方もいらっしゃるが、いやいや、男が気にしてるんだよ。だって、女性も自分がハゲたら嫌でしょう?

実はその友人をモデルにして、こんなラジオドラマの脚本を書いたことがある。
主人公は彼女いない歴イコール年齢でフリーターの男。ハゲに悩むその男が電車の中で髪の毛が抜けてしまう。その毛が目の前に座っていた女性のスカートに付く。その女性は強盗にあって大怪我をする。
ハゲ男はテレビを見て「犯人が残したと見られる毛髪のDNAを・・・」というニュースを目の当たりにして、冤罪逮捕されるのではないかという心労で抜け毛が増える。
ハゲ男は友人に説得され、出頭しようとする。自分が犯人でもないのに、「お前は社会に必要とされていない」と言われて。そのとき、その友人が犯人だと判明して、ハゲ男は助かる。
増毛剤の効果がでた男は自信を取り戻してバーに入る。すると、すっかり怪我の治った女性と再開する。そこで話は終わる。

我ながら、その友人に対する愛を感じる脚本だと思った。そのラジオ音源、著作権の関係でアップロードできないのが残念だ。脚本だけでもアップロードしようかしら?