そうだ 京都、行ってきた。④
鴨川から目的地の南禅寺に向かわず、京都駅に引き返したのは、ほかでもない。スマホの充電が切れてしまったからだ。夜行バスの車中でフル充電にしたのに、東寺、イノダコーヒー本店、鴨川と来て、あっという間にゼロに。充電できる場所を探して、荷物も預け、身軽になって再出発。
裏テーマ
よりどりみどりの京都の観光スポットから、南禅寺に決めたのは、今回の京都旅行のメーンが、明日、阿形(夫)と行く貴船神社と貴船の川床体験で、貴船神社は水の神様であり、阿形の生は「水」と縁が深い。ならば、私の今日の自由時間も、水にかかわる場所にしよう。南禅寺の境内を通る、琵琶湖疎水のあの有名な赤煉瓦のアーチ橋「南禅寺水路閣」を見に行く。そして、そこから疎水沿いの哲学の道を歩こう。「水」を裏テーマとした。
ねじりまんぽ
南禅寺の最寄駅、蹴上の地上に出ですぐに「ねじりまんぽ」の立て看板があった。「まんぽ」とはトンネルを意味する古い言葉で、「ねじりまんぽ」は「ねじりのあるトンネル」という意味だそうだ。このトンネルの上を、琵琶湖疎水の一区間、台車に載せて舟を運ぶインクライン(傾斜鉄道)が敷かれている。南禅寺へは、この「ねじりまんぽ」をくぐる。
南禅寺の山門(南禅寺では「三門」と書く)が見えてくる。同時に、参道の脇に上から流れてくる水路があり、「これが琵琶湖からの水」と思うと、気持ちがはやる。京都らしい庭でもなく、どこにもありそうな水路で感激しているのもおかしいけれど。
三門の手前に大きな石の句碑があった。
『この門を入れば涼風おのづから 杉洞』
絶景かな 絶景かな
時刻は午後1時過ぎ。涼風は微塵もない炎天下だった。男性二人が山門の太い柱を確かめるように触っていたので、私もまねてみる。noteを書きながら知ったが、南禅寺の山門は日本三大山門に数えられる。現在の山門は寛永5年(1628)藤堂高虎が大阪夏の陣に倒れた家来を弔うために再建したものだという。触ったのは約400年前の柱だった。また、歌舞伎の「楼門五山桐」の石川五右衛門の「絶景かな絶景かな」という有名なセリフはこの南禅寺の山門の上で、夕暮れ時の満開の桜の花を眺めながら語ったものだという。春の夕暮れ時に来たい。
天井の龍
山門の正面、法堂の天井に龍の絵があった。外からそっと覗きこむと睨みつけられた。帰りにも覗くとやはり睨まれた。雲や雨、稲妻を放つといわれる龍。法堂に描かれるのは、「法の雨(仏法の教え)を降らす」という意味や、龍神が水を司る神であるため、「火災から護る」という意味 がこめられているという。臨済禅 黄檗禅公式サイト臨黄ネットで、南禅寺をはじめ龍の絵を見ることができるのがうれしい。
法堂の奥へ向かうと、赤煉瓦の水路閣が現れた。青紅葉の青と、脇を流れる水の音で、ようやく「涼風」が吹いたような気がしたような。
ここにきて、遠いと思っていた琵琶湖・大津市と、京都・南禅寺が意外と近いことが分かった。一山を越えた向こうに、所用で出かけている阿形がいる。(うん)
■「そうだ 京都行ってきた」シリーズのつづきはこちら:
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