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CS組織立ち上げ中!0からやっと1になった話と事例紹介

こんにちは。アウモ株式会社カスタマーサクセスチームの徳永です。

私は2018年10月にアウモに入社しました。当初はメディア事業部で「aumoアプリ」の責任者を経験し、その後商品開発チームを経て、現在はCS(カスタマーサクセス)部門をみています。
みていますと言っても、今回のタイトルの通りCSチームを絶賛立ち上げ中です!本記事ではその悪戦苦闘とそこから得られたCS立ち上げに必要なナレッジをご紹介します。

■こんな方におすすめ
・CSに興味がある、過去にやっていた
・CSに限らず何かしらの組織を立ち上げようとしている
・アウモの社風や取り組みに興味がある


はじめに:CS組織立ち上げの背景

最初になぜ弊社でCS組織が必要になったかを簡単に説明します。

現在アウモでは、実店舗向けのマーケティングSaaS「aumoマイビジネス」を展開していて、数百社の法人顧客と契約をしているのですが、顧客満足度や契約更新率の向上についてまだまだ改善余地がありました。主な課題は、これまでFS(フィールドセールス)がサービスの提案から契約、役務提供までを一気通貫で担っていましたが、サービス開始時期に比べてありがたいことに契約数が右肩上がりで伸び、FS一人当たりの対応量が増えて、顧客に対して手厚いフォローができにくい状況になってきていました。

FS業務フローと課題
FS業務フローと課題


顧客の数が増えていくごとに営業担当は自身がみる役務の数も増え、物理的に多くの顧客を担当するのが難しくなったのです。
そこでFSとCSに組織を分けて分業制にすることで全社の生産性を向上させようと考え、2022年4月から本格的にCS組織の立ち上げが始まりました。

※セールス組織全体の変革については「創業4期目でセールス組織拡大の壁にぶち当たった話」を読んでいただけると幸いです。


1.CSを立ち上げることになった!さぁ何から始めようか?

背景でお伝えしたFSが一連の業務を担当しているところに課題があったので、FSとCSを分業制にするにあたり、それぞれの役割は以下の通りに分けることにしました。

・FS:新規獲得(提案準備、商談、契約周り)
CS:役務提供(オリエンテーション、役務進行、納品)

CS組織立ち上げと担当領域
CS組織立ち上げと担当領域

FSとCSの役割が決まり、まずはFSが担当している顧客をCSに移管していくことになりました。ただ、何からどのようにやるのかを考えたときに、FSが十数名いて顧客数も数百社あるので一気に進めるのは難しく、以下の方針でやることにしました。

■立ち上げ方針
・自社にとって最適なモデルを作ることを目的にまずは試験的にやってみる
立ち上げの方針に沿った最適なメンバーでテストを行う

アウモでは新しい取り組みをやる際は必ず新たな価値が生み出されるかをしっかり見ていきます。CS組織の立ち上げも同じで、組織立ち上げが前提ではなくその検証もスコープに入れ、アウモの場合どこにCSの価値があるのかを見極める必要がありました。

また、実はアウモでは過去にCS組織の立ち上げをやったことがあるのですが、その時はうまくいかず本当に組織と分業体制がマッチしているのか疑問に感じた場面もありました。

だからこそ何としてでも今回このCS組織の立ち上げを必ず成功させるために、過去の経験を活かし、アサインするメンバーや移管フローは立ち上げ初期にふさわしいかどうかの視点で慎重に選びました。
先にお伝えしておくと、これがとても大事な判断だったなと思います。


2.アサインするメンバーは?体制は?

立ち上げ初期に重要視したのは、今後の分業体制においての社内モデルにもなるので、FS・CSともに経験値の高いメンバーをアサインしました。そうすることで上手くいった時に組織が生み出す売上効果の最大値が見えてくると考えました。

FSとCSのメンバーの要件は以下です。

■FS
・営業経験が豊富でCS視点を持つことができる
・アウモでの社歴が一定期間あり、サービス理解が深い
・引継ぎのしやすいシンプルな案件を多く所有している

テストを進める中でFS視点の意見を多くもらいたいという意図もあり、特にアウモ社での営業経験を重視しました。
また、まずは標準的かつ最適なモデルを作りにいくため、引継ぎが難航しそうなオプションの多い複雑な案件は適していないと判断しました。

■CS
・商品知識のあるアウモ社での営業経験者
・FSの業務が把握できている
・製作部門や事務など社内各所との調整がスムーズにできる

売上を担うFSを現場から外すと、その分単純に売上が落ちるので厳しいといった声もありましたが、ここが過去の経験でうまくいかなかったポイントでした。商品や業務を深く理解できていないと、結局は顧客やFSとスムーズに関わることができないため、商品や業務理解のあるメンバーのアサインを決めました。

体制は他社の事例も参考にしつつ、CSが行う一連の業務から1顧客にかかる工数を整理し、担当顧客数がどれだけ増えると、工数がどれくらいになるのかといった試算をしました。

1顧客の稼働工数と担当顧客数
1顧客の稼働工数と担当顧客数

そして、そこからCSが1人何社を持てるかをシミュレーションしFSの人数を決め、このメンバーをCS組織立ち上げプロジェクトの中核にして推進していきました。

■初期の体制
・FS4名
・CS1名


3.成果を可視化!初期のKPI設定

初期のメンバーと体制が決まったら、次は成果をみるKPIの設定です。先ほどもお伝えした通り、アウモはデータドリブンな会社なので本当にここで成果が出ているかはシビアに見ます。他社事例も調べてみましたが、検索をしても出てくるのは顧客の契約継続率や解約率をKPIとしている企業が多く、そうすると中期的な視点になるので初期のKPIとしてはあまり参考になりませんでした。

その理由として、CS組織があることで顧客満足度が高まり契約の継続につながること、これ自体は分かるのですがこの指標が実際に効果として見えてくるのは半年~1年くらいはかかります。
立ち上げ初期の段階でうまくいっているのか、改善していく必要があるのかを連続的にモニタリングしていきたく、もっと短期で見れる指標も必要でした。

そこで考えたのが、FSとCSで業務分担をすることでFSがもっと商談に注力できるようになり売上が上がるのではという仮説でした。

例えば1日のアタック数や商談数には限界があります。もともとFSは既存顧客の対応をしながら営業アクションをしていたのですが、この顧客対応をCSが担当することでアタックや商談の営業活動に時間を割けるのではないかと考えました。実際には、これまでの1日の商談数を平均値より数件増やしていくイメージです。

結果的にKPIは以下の2つをセットしました。短期的に重視する「FS稼働効率」の指標と中長期でみていく顧客の「契約継続率」です。

テストの成果

■FS稼働効率(以下の営業活動の数値が増えたか)
・商談数
・売上金額の増加幅
■顧客の契約継続
契約継続率

CSが役務を担うことで、FSが営業活動に専念でき商談数が増えることで受注数も増えるのではないかという仮説で特に初期のテスト段階では「FS稼働効率」を重視しました。
ここで成果が出ていればさらにCS組織立ち上げをドライブさせていき、中長期では顧客の「契約継続率」を重点的に追っていくことにしました。

CS組織立ち上げの目的、FSとの役割分担、アサインするメンバー、KPIが決定し遂にプロジェクトの始動です。

CS組織立ち上げプロジェクト
CS組織立ち上げプロジェクト

4.CSへの顧客移管の実行

しかし、ここまで計画を立てて進めてもスムーズには進まないのがプロジェクトの定め。実際に移管を始めるとFSとCSの視点でお互いの意見が出てくるのですんなりとはいきませんでした。直面した壁の要点は以下です。

困ったこと

  • 1.FS個人によって顧客対応に差があった

    • FS個人で顧客とのコミュニケーションの取り方が確立されていて異なるため、それぞれのやり方に合わせるようとするとCSの対応も属人的になる

    • 結果的には最大公約数で考え、理想の形に落とし込む必要があった

  • 2.新しい取り組みは理解浸透に時間がかかる

    • FSは既存業務と並行してCSへの移管対応をすることになり、移管対応だけに集中することができない環境

    • CSが運用における提案や改善点を一方的に伝えても、FSは受け身になってしまうため、時間をかけて理解してもらう必要があった

経験値のあるFSは各自の営業スタイルが確立されています。CSがそれぞれの顧客を担当するにあたっては、そこを標準化しにいく必要があり、この作業に時間がかかりました。
例えば、CSが顧客と初めて接点を持つタイミングもFS個人によって要望が異なりました。ある人は受注が確定する前から入って欲しいと要望があり、また別の人からは受注が確定した後に入って欲しいといった感じです。でも、それはどちらも正解なのです。
はじめはそれぞれのやり方に合わせようとしたけど、そうするとCSが担当できる顧客の数に限りが出てきてしまいます。ここで重要なのはCSとしてどうすべきかをジャッジして意思表示をすることです。最初はこのチーム間のコミュニケーションに苦労はしましたが、最終的に定例会で議論を重ねてフローや役割分担を決めていくことができました。

FSとCSの連携フロー
例:FSとCSの連携フロー

ここで冒頭にも書きましたが、まずはCS組織立ち上げを分業化することの重要性をFSやCSに浸透させ、メンバーが納得感を持って進めることで、移管作業自体がスムーズに且つクオリティも担保しながら遂行できたと思います。結果的にサービスを通して顧客へ提供できる価値が向上することを一つの目的とし、FSとCSどちらからも意見を出し合いながら進めることでより良い体制づくりの基盤ができたと感じています。

そして、2022年7月、約4ヶ月にわたりFSからCSへの顧客移管を試験的に実施した結果が以下です。

テスト結果

こちらの当時の振り返りをした際の抜粋資料ですが、CSが入ることで当初の仮説通りFSが営業活動に集中できる環境を作ることができて、商談数や売上を伸ばすことができました。商談も新規顧客にかける割合が増えましたし、顧客の契約継続率も全社平均よりも高いことが見えました。

CS組織立ち上げプロジェクト振り返り
CS組織立ち上げプロジェクト振り返り

■FS稼働効率
・商談数:130%まで増加
・売上金額の増加幅:106%まで増加
■顧客の契約継続
・契約継続率:全社平均よりも7%増(シミュレーションでの見込み値)

また、何よりこのプロジェクトに関わったFS自身が効果実感を感じていたのが成功の証になりました。
これは一部の事例ですが、CSの効果が日々の営業活動の中でも表れ出して、FSの日報でも対象メンバーがコメントをくれるようになったのです。

例:FSメンバーからのコメント

ここまで終えて学んだことは、別部門を巻き込んだ組織立ち上げは新しいことに挑戦する会社の姿勢とそれをやり切る社員がいてこそということでした。いくら計画を立ててもそれが無ければ絵に描いた餅です。
アウモではそういう懸念やハードルが無く、経営陣や上司、同僚のあらゆる層が同じ方向を向いて進められたのは大きかったです。


5.今後の展開と組織拡大

CSがアウモの組織にマッチすることが証明されたら次は何をしますか?と問われたら答えは簡単、組織を拡大するのみです。
FSからも「次のCS担当は誰ですか?」と催促がかかる嬉しい状況になっていて、現在はCSの業務に興味のある仲間を募集しています!

アウモには飲食店、宿泊施設、小売店など実店舗を持つ様々なジャンルの顧客がいらっしゃいます。そして、顧客自らがもっと簡単に効率的にマーケティングができる世界を実現することを目指していて、CSはその顧客を長期的に支援する中核となる部門です。

まだ組織を立ち上げ途中でこれから拡大していくと同時に仕組みも作っていく必要があります。おでかけに関わる事業者の皆さんにマッチするCS体制の構築やフローの整理を通して顧客と向き合い、顧客の課題を一緒に解決していくこと。飲食業界を盛り上げたい!旅行にいくことが好き!など、おでかけ領域の事業者貢献に興味があるという方はぜひ一度お話ししましょう。
この記事を読んで楽しそうと感じたら応募理由はそれだけで十分です!

以上、「CS組織立ち上げ中!0からやっと1になった話と事例紹介」でした。今後も1から10にしていく過程を少しずつ共有していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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