【詩】秋色
夕焼けは
この世のすべての赤を吸うんだって
(飢えているのだと 誰かのささやき)
だからあんなに赤いんだって
傾く陽に照らされて あの子が笑う
赤い彼岸花の川べりを
あの子と手をつないで帰れば
小さな灯のように揺れる花の 白
夕焼けに
もともと赤いはずの花が
身の色を手渡したのなら
秋色とは
想いと覚悟で生まれる円い白さを
指すのだと知る夕方
赤い彼岸花の川べりで
あの子とお別れ ばいばいまたね
秋の夜長を照らしに昇り始める月も 白
夕焼けが
わたしの背中を赤く染めていく
(誰かの赤を吸う わたしも夕焼け)
冬になれば 白の美しさに
気づいて 色を返しにくるだろうか
・・・・・
秋は紅葉などの色の印象が強いですが、見渡すと案外白いものが多いかも?と思いながら書きました。白い彼岸花が好きです。
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