希望のための一週間。

物語の始まりは余命宣告されて、自分にそっくりな悪魔がでてきてやりたいことなんですか?って話しかけてくる。そんな始まり、ぶっ飛んでる。まともな物語だとは思わないよ。極めつけは悪魔が言う「あなたは明日死にます。でもこの世の何かを消せばあなたは一日長く生きることができます。しますか?」
そこから始まる、何かを失い、換わりに自分の命を得る日々。最初は命のやり取りをしているはずなのに悪魔の軽いキャラのせいなのか、大切な人を消すわけじゃないからそんなに主人公が重く考えてないのか、それほど深刻さを感じさせない運び方だった。でも、世界は知らず自分だけが知っている失くしたものについて追悼するように思い出を語っている。ただ生きたいだけならば、もともと無かったものだと思い込み自分が消したのだと考えることもなかっただろう。終盤に渡される主人公のお母さんからの手紙にも書かれてた主人公の素敵なところ、それがここにも表れているな、描写でわかるように最後は言語化してわかるように。素敵なところを書いた手紙を悪いところ、嫌いなところを言い放った元恋人から渡される、その対比もこれを書くために読み返した時におもしろいなって思ったな。

「何かを得るためには、何かを失わなくてはならない。」

この言葉が一番わかりやすい物語だ。命というかけがえないものの代わりに誰かのかけがえのないものとか世界にとってかけがえないものを消す。でも、最後は気が付いた、ただ生きるために何かを奪うのは違う、ただ生きるのではなくどう生きるのか。大事なものを失ってまで生きるなんてことはしない。それが主人公にとっては「猫」だった。
猫と一緒に生きた人生だった。

“最期”

あえて小説の最後だけども最期と表現させてほしい。猫のように死ぬ姿をみせないというような終わり方だと思ったからだ。
むしろこれからやろうとしていることに希望を感じているように思えるほど清々しさがある。
嫌いだったお父さんに郵便屋が出す最後の手紙。ぜひ読みたいものだ。

「世界から猫が消えたなら」 川村元気

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