何回転んだっていいさ。

何回でも転べる人生は良いもんだ。
周りに恵まれている、こればっかりは運なんだなって思う。親、兄弟、友達、ライバル、指導者、全員が何回転んでも許してくれる。お前は大丈夫だ、お前は俺についてくる、だからこの失敗は屁でもねえぞ。過度な期待はその人を滅ぼすかもしれない。でもそれも含めての信頼。わかってる、全部みんな見てた、乗り越えてこれた、だからこその期待だ。もし迷ってしまったらその血を見て戻ればいい。BUMP OF CHICKENもそういってる。
何回転んでも待ってる。

全3部で構成されているこの作品
「イチニツイテ」「ヨウイ」「ドン」

体力測定の「勝負しよう」から始まる。勝負にならなかった見惚れた走り。最初は親友を自分が走らせてやるとサッカーから陸上に転向。家族にはプロのサッカー選手がいる、決して逃げじゃない、でもお兄ちゃんには認められていない気がしていた「イチニツイテ」

何もかもが我慢だった。大きな存在だった先輩が引退する。エースの故障。まとめないといけない立場になった、苦悩が絶えない。大好きなお兄ちゃんが大きな怪我をした。ひどいことを言われた、ひどいことを言った。ショックで部活を休みがちになった。そんな時周りが見ていてくれた、走らせてやるって思ってた親友に走らせてもらった。インターハイとか大きなやつじゃなくて「かけっこ」。ずっとそれをやってきたって気付かされた「ヨウイ」

お兄ちゃんには認められないと思ってきた。でも、とっくにあっちは認めていたんだとしっかりと全部を理解できた。厳しい目をしながら「怪我すんなよ」言うお兄ちゃん。俺たちは同じ世界にいる、どっか違う世界だと思っていた、そんなことは全然なかったのだとその一言で気付いた。やるしかない。それを決意付けてくれた。最初に言った「勝負しよう」を現実に。勝負にならなかった1回目の借りを返さないと。さあ一瞬の風になるためにスタートを切ろう。「ドン」

「一瞬の風になれ 第三部 ドン」 佐藤多佳子

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