勝負しようぜ。

本気で勝負することは怖くてできなかった。
へらへら笑って、「だって俺なんもやってないもん、そんなんでお前に勝てるわけないじゃん」。必死にやった勉強もなかったように自分は同じ土俵にすらあがってないと自らを下げて心の安寧を保った。負けず嫌いの勝負嫌い。
だから、この物語の中の人たちはこんなにも真摯に勝負に向かい続けてる姿を見て逃げんなって胸倉掴まれてぶん殴られてる気持ちになった。
大言壮語だと思われてしまうような言葉を実現しようとしている高校生の物語の始まり。

親友の天才スプリンターに「速いよ、わりと。」と逃げちゃだめだとしっかり勝負に持ち込んだ。勝負になんてならないことは分かってはずなのに、ちゃんと自分の口で「勝負しよう」と伝えることができる強さに感心した。もっとすごいのは負けをそのまま受け取って言い訳をしないことだな、自分に足りないものをしっかりわかってる感じ、それを実行に移す行動力も僕にはなかったものだ。
こうやって自分に足りてないものを教えてくれる青春物語はやっぱり好きだ。

「一瞬の風になれ 1 イチニツイテ」 佐藤多佳子

この記事が参加している募集

たくさんの人たちから選んでくれてありがとうごさいます。