課題図書って。
歳の離れた弟がいる。その弟に借りた本がある。その本を読んでみた、「105度」。帯には魅力的な本編からの引用文。主人公がパートナーと言い合いになってどうしてと思っている時におじいちゃんからかけられた言葉。
「人間なんてのは、だれだってだれかに寄りかかって生きてんだよ」
題名の「105度」ていうのは人と人がもたれあって出来る奇跡の角度だって。そして人間がイスにもたれて心地よいと思える角度。っていう意味があるらしい。そうやって聞くと、僕たちがふーっとイスの背もたれに寄りかかっていると、イスもまた僕たちにも、もたれかかってくれているのかなとか思ってしまう。無機物であるイスにそんな事は思えないとわかっているはずなのにね。そんな文章に惹かれてじっくり読んだ。
その中の物語には僕の憧れ続けている世界が広がっていた。無限の可能性を捨てたとしてもただ一点を見つられている人生観。目移りばかりしてた僕からはとても想像できない。
「この道しかなかった、来るべくして来た道だ」
今後、僕が言いそうにないセリフNO.1かもしれない。登場人物の1人のデザイナーが自分の中のもの全部出そうとして出したんじゃないかと思った言葉。もちろんこういった実力社会にいる人たちだけが重大な選択をしているわけではない事はわかる年齢になった。思考が「自分は、自分が」で止まっていいような年齢でもない。生きていれば何歳だろうがどんな境遇だろうがその人なりの重大な選択の連続もんだと青っ洟たらしながら思う。改めて、「好きなことで生きていく」というは「好きなことだけで生きていく」ことではないことを突き付けてくれた。
「105度」 佐藤まどか
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