ぐっとためて。

最初から力をためる始まり方、力をためざるを得ない始まり方。
天才の兄貴。天才の親友。しっかりと見てる。主人公を応援してる。
それぞれの応援の仕方は全然違うけれどその応援の仕方がぎこちなくて現実的で容易に情景が浮かぶ。深入りせず見守る兄貴、認めて当たり前の様に自分に追いつくと信じてる親友。
そんな人たちに囲まれているのが幸せか不幸せかなんて断言できない、けれど焦りは人一倍あるだろう。考え方でそれがとんでもない武器に出来ると顧問の先生は言うけれどそれが出来るならそいつはそれの天才だ。そして主人公は努力の天才だった。普通は腐る、自分だけでどうにかしようとなりふり構わなくなる。でも自分に足りないものを教えてくれという教えを乞う姿は本当に高校生なのかと思うほど冷静だと思った。

当時、お金が無くてブックオフで200円で買った物語がここまで力をくれるとは思わなかった。努力しても全然自分の力にならなかった、勉強しても思うように点数が取れなくていつも平均点。何事もうまくいかないならその為に我慢も大切だと思わせてくれる。「走るよ、とことん。」そうやって決心を言う姿に何度も救われた。決心するだけじゃなくて「言葉にする」主人公が大好きだった。

ほんとに2部の物語はどうしようもないことばっかりだった。踏んだり蹴ったりだ。それでも奮闘する登場人物。もがきながら絶対に前に進もうとする人たちの物語だ。

「一瞬の風になれ 2 ヨウイ」 佐藤多佳子

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