絵描きの小説「怪物〜曖流のなんでもない日常」
新作絵画「怪物』のもうひとつの顔は小説で
9月18日から、今年も上野の東京都美術館で展覧会かはじまります。
5日、6日と2日間にわたり、搬入撮影審査と館内に缶詰ておりました。
今年は、不機嫌パワーが爆発して、モンスターを生み出してしまったひろ生の新作たちの画題、迷った挙句、そのまんま
「怪物」
にしてしまいました。
副題は付けましたけど……実はその副題がもっと酷い!笑
9点でひとつの作品になるので、展示の仕方で、いろいろ怪物のイメージやうごめきが変わると思います。
興味のおありになる方はぜひいらして下さいね♡
今年は昨年一昨年と気分のまるで違った状態で制作していましたので、最初は迷いながら中々筆が捗らなかったのですが、気づいたらものすごいことになってました( ̄▽ ̄;)汗焦汗
いろんなことが重なりすぎて、不機嫌パワーと申しましょうか、テーマの産土、宇宙、から続いて、今年も宇宙のマトリョーシカを描きたかったつもりが、またしてもインナーワールドに入り込み、ついに個人的な怪物を産み落としてしまったようです。
制作中に息苦しくなると、この怪物が生み出された背景的なものを妄想小説にしたくなりました。
こそこそと小説を書いては絵を描いて、絵を描いては小説をこそこそ描いて……そんな夏を過ごしました。
てなわけで、書き始めたフィクション
「怪物〜曖流のなんでもない日常」
曖昧だけど、なんとなくこんな裏設定のある普通で変てこで切ない日常のお話。
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いつも明るく元気よく笑顔を忘れない曖流。だから、変わり者と言われながらも、悩みなんてなさそう、幸せそう、と口々に言われてきた曖流。その苦悩は計り知れず、曖流の心の中を映すように鏡の中の曖流はいつでも不機嫌なのでした。
そんな生き辛さを背負った曖流の日常は、曖流の口癖、
「そう、なんでもないし、なんてことはきっとないの」なのです。
けれど、言葉とは裏腹に描いた絵画の中にモンスターを生み出してしまった、絵描き曖流の向かうところはどこなのでしょう。……筆者にもわかりません。
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1
トーストに載せた林檎ジャムが、ぼたりと膝に落ちた。
それをじっと見つめたあとで、無言のまま曖流は膝を立て、それを舌で掬いとった。
それでなくとも不機嫌な日々が続いているし、暑いしで、のろのろと朝食を終えてからベランダに出る。
今日もターコイズの空に、自由な雲たちが自由なフォルムで無秩序に散乱している。
朝とはいえ太陽の照射は容赦ないが、曖流はぺらぺらのキャミソール姿でそれに挑み、キリがないとわかっていても、写真を撮らずにはいられない。ほぼ毎日容量は増えていくわけで、現在クラウド上の空の写真だけで増設した容量の三分の一を占めている。少しは整理しないといけない。
曖流は果てなく広がる天を仰いで、創作の種を際限なく語っていた幻の時間を思う。空の形をいつでもうきうきして躊躇うことなくその場で共有していた誰かがいたはず。わかってるのに思い出せない。
だから、こんな面白い空が撮れた時は、むしろ悲しくなるし、頭痛がするし、もったいないし、なおさら不機嫌にもなる。
首筋に流れる汗が、虫が這うように気味悪くくすぐったい。
いつかその虫は、肩鎖あたりからしゅるしゅると入り込んで、曖流の腕の血管の中で血小板を食べて生息するのかもしれない。
シャワーを終えたら、曖流は噛み締める奥歯の力を抜いて、絵描きスイッチをカチッと入れるのだ。
神の御心のままに
続きはアルファポリスの方にゆっくり投稿するので、遊びに来てくれたら嬉しいです♡
ちょっぴりせきららら、を読んでくれて、本当にありがとうございました。
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