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お世話になった人⑧

私が、21歳から23歳まで、アルバイトでお世話になった中国料理のレストランでお世話になった人の事を今回も書いていきたい。

彼は、外見はとても背が高く、髪の毛も茶髪混じりで、話さないうちは怖いお兄さんというようなイメージであったが、話してみると、普通な感じの先輩だった。立ち位置は、あまり聞かなかったのだが、アルバイトだったようだ。歳は5歳上の社員の先輩のより、2つくらい歳上で、私とは7つくらいは離れていたと思う。

元々、総支配人と仕事場を共有していたようであった。
総支配人については、「お世話になった人⑥」、先輩社員については「お世話になった人⑦」をご覧ください。貼り方がわかりませんでした。。

冗談話がとても好きで、よく話し、よく笑う、お客さんとも世間話でよく盛り上がっていたのを覚えている。

総支配人も怒ると怖い人だったのだが、この先輩もまた怒らせると、怖い存在であった。

その時のエピソードなのだが、私の勘違いか、先輩の勘違いか、それとも本当にそんな事をしたのか、この後の衝撃が強すぎてよく覚えていない。この後、私はこの先輩を激怒させてしまうのだった。後になって、理由となった事を訊いてみると、「トイレ掃除の雑巾で、ホール内のテーブルを拭いていた」と言っていたのだが、いくら私でも、それくらいの分別はつくし、そんな事をしたのかどうか疑問で仕方がないのだが…。

その日は、その先輩とランチタイムが終わって、ノーゲストになったホールで、一緒に仕事をしていて、その流れで、事件は起こった。

その「私がトイレの雑巾でテーブルを拭いていた」という事で、先輩は激怒し、ノーゲストで私たち以外誰もいなかったホールで、私の太ももに強い蹴りを3発程浴びせてきたのだ。

私は暫く立ち上がれなかったのだが、我慢して、そのまま休憩に入った。夜の配置はまた違うフロアで、ドリンクを作ったりする裏の仕事をしていたのだが、足の痛みは増すばかりで、足を引きずらないで歩く事ができないくらいになってしまっていた。

その日、派遣会社の2個上の人も一緒にいて、私が足を引きずっているのを見て「どうしたの!?」と駆け寄ってきたのだった。私は、言い訳が思いつかず、先輩に蹴られて…と、ありのままの話してしまったのだった。

夜の仕事では、先輩は入っていなかったようで、会わなかったのだが、事態はどんどん悪化していたのだった。
次の日の朝、目覚めると、蹴られた部位が、青紫色に大きく腫れ上がっていて、とても歩けるような状態ではなかったので、私は、休みを頂くため、バイト先に電話連絡を入れた。年配のアルバイトの人が受けたのだが、その時も、「先輩に蹴られて、痛くて歩けない」と言ってしまったのだった。

そのまま、私は整形外科を受診し、医師や看護師の方から「こりゃ酷い!どうしたんですか!?」と訊かれ、「私の仕事が酷くて、先輩に蹴られたんです」と伝えた。だが、私も私で、みんなより仕事ができないという自覚はあったので、自分にも非があると思っていたのだった。

その後、私は電話連絡を入れて、4日程休んだ。程なくして、先輩本人から、ウチに連絡が来て「お前、〇〇さんや□□さんに、俺に蹴られたって言ったのか」と訊いてきた。私は、言い訳が思いつかなかった事などを告げ、総支配人から注意を受けたとも言っていたと思う。

またその翌日から出てくるように言われたが、当日と比べればよくはなっていたが、まだ普通に歩けるような状態ではなかった。だが、業務命令だと受け取り、バイト先へ行き、その日は裏の仕事をしたと思う。

治るのにどのくらいかかっただろう。私が足を引きずっていると、その先輩が声をかけてきて、「もういい加減治っただろう。痛がるフリはやめろ」などと言ってきたが、痛みはまだ少なからず続いていたが、それでも痛くても普通に歩こうと思えば、できなくもない位までは回復していたのだった。

この他にも、度々、胸ぐらを掴まれたり、浴びせられた言葉で泣かされてしまうというような事があったが、それは、私が仕事に慣れないうちの出来事であって、慣れれば慣れるほど、そのような行動はなくなって、普通の面倒見のよい先輩になったのだった。

時間が経ち、プライベートでも総支配人たちと交流するようになると、その先輩もついてくることが度々あった。その頃にはもう、恐怖心はすっかり消えていたのだった。

私が仕事に慣れた頃、私の後輩に高校1年の女の子が入ってきた。主に仕事を教えていたのは、歳が一番近い、私の先輩の同じく高校生の3年になった子が教えていたが、彼女は誰に対しても人当たりがよく一番年下という事もあり、みんなにかわいがられていた。22歳になった私とも、打ち解けるのにそんなに時間はかからなくて、よく夜の営業が終わってから、一緒に賄いを食べて、帰ったりもしていたのだが、ある時から、その先輩とその子が交際していたようであった。歳の差は干支が一周するくらいあったが、先輩は彼女と付き合っていると言っていたが、彼女の方は、厨房に入ってきた10代の見習いの子の話をしたり、また逆に厨房の別の若い人が、彼女に気があったらしく、メールがしつこいという話などをよくしていて、先輩との話は私に対しては、あまりしてこなかったので、私としては、本当に付き合っているのかはよく分からないのだった。

その後、総支配人が変わると、先輩も一緒に辞めていったと記憶している。その後は、私もやがて行くことになるホテルで働く事になり、一緒に同じ仕事をする事もあったのだが、レストランのアルバイト時代と違うのは、ホテルはとても広い所で、ゲストや働いている人もとても多いところで、アルバイトをしていたレストランから考えると、先輩との距離は少し離れてしまったと感じたのだった。

そこでも、先輩は「蹴りを入れた話」をそこの同僚の人達に話して、トイレの雑巾でテーブル拭くなんて有り得ないとバッシングを受けるのだが、私もそんな事はしてないはずだと言ったが、先輩は、この時も「嘘つくな」と言ってきて、私は黙り込んでしまったのだった。

また月日が流れ、私がそのホテルを辞めてしまうと、一気に交流はなくなってしまった。今頃はどうしているのだろうか。


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