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アリー404

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最近書いている、アリー404という路地裏のうっかり屋のお話です。 縦軸はなんとなくあるものの、基本的には1話完結です。 『なんのはなしですか』から生まれたnoteの世界のフィク…
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『アリー404』目次

『アリー404』目次

今までは数字だけだったのですが、戦隊方式で各話にサブタイトルをつけてみました。

あの話どれだっけ?

なんだこのタイトルは⁈

が同時に叶うと思います。
下線クリックで記事に飛びます。

〔裏話〕は、各話を書くときの題材や想いについて簡単に書きました。

『アリー404』⑴ 変身したかった男

⑵ ドアを閉めたのは誰

⑶ エラー404

⑷ 404ジャーナル

⑸ もうひとつの世界

⑹ シッ

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アリー404 ⑻ パン屋の金魚と天使の秘密

アリー404 ⑻ パン屋の金魚と天使の秘密

今日は来るかな。

最近このアリー404に越してきた、アトイさん。
私の店でも常連客のみんなが気にしている。

「ロンさん、今日はアトイさん来ました?」

「アトイさんと話しました?」

「船着場のバーで会いたいって言っておいてください!」

ここがパン屋だから仕方ない。

正確には、金魚がいるパン屋だから、というべきか。

みんな信じないが、ある日の朝早く、急に天井付近の空中から金魚が落ちてきた

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アリー404 ⑺ 船着場

アリー404 ⑺ 船着場

月月火水木金金……
曲調は嫌いじゃないんだけどな。
どこか別の世界の、昔の海軍の軍歌らしい。

僕は海軍に所属していないので、その使命感や気持ちはよくわからない。
でも、同じ海を職場にしていると思うといろいろ考えてしまう。

「おはよう」

声がする方を向くとレラさんがいた。
この人は気分屋で、なんの前触れもなしに急にやってくる。

「おはようございます。」
「ちょっと相談していいかな。」
「だめ

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アリー404 ⑹ シッカリ屋も人間だもの

アリー404 ⑹ シッカリ屋も人間だもの

なるほどここがうっかり屋か。

シッカリとここへの訪問の準備を整えていた私だが、雨が降る可能性を考慮に入れていなかった。

この路地裏には、雨の日は通れない道がいくつかあるし、雨の日しか通れない道もある。

私は要するにうっかり屋への経路を考えた時点でうっかりしていたのだ。

しかしおかげで、元の計画よりもスムーズにうっかり屋に辿り着くことができたので、よしとしよう。

私はノックをした。

「ど

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アリー404 ⑸ もうひとつの世界

アリー404 ⑸ もうひとつの世界

今日は一日中晴れという天気予報だったから、僕は久しぶりに外を散歩することにした。

その日に何をするかは天気で決めるのが僕だ。

僕は気がついたら路地裏に1人で住んでいた。
もうすぐで2年だ。

時々表通りに行ったりもするけど、やっぱり人の少ない、この路地裏が一番路地裏らしくていいと思う。

よし、今日は散歩の日だ。
そう思って散歩をする。
相変わらず人と会うことは滅多にない。

ここはアリー40

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アリー404 ⑷ 404ジャーナル

アリー404 ⑷ 404ジャーナル

毎月このアリー404の住人の元に届くフリーペーパー『404ジャーナル』。
この路地裏の情報屋が発行している。

今日の一面に、久々のニュースが載っていた。

ここはアリー404。
人に会うことは少ないが、住人は少なからずいる。

ただ、出会うためにちょっとコツが必要なだけだ。
新たな住人が来たニュースや気になることはメモを残しておく。

このジャーナルは受け取ってから数時間後にはどこかへ消えてしま

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アリー404 ⑶ エラー404

アリー404 ⑶ エラー404

私は今日も路地裏巡りをしていた。
最近の路地裏ブームもあって、普段より人が多く感じた。

「なんのはなしですか」

という看板はだいたい路地裏にある。
私は普段はそれを頼りに、路地裏を巡っていた。
そしてこの辺の路地裏のことはだいたい知っているつもりでいた。
だから、本能に任せて歩いていた。

そして迷ってしまったのだ。
似たような景色が続いている。

あの店、さっきも見た気がする。

それが気の

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アリー404 ⑵ ドアを閉めたのは誰

アリー404 ⑵ ドアを閉めたのは誰

こんなところに来るつもりはなかった。そこは見たことのない、来たことのない路地裏だった。

何かを探していたということは覚えている。
スマホを取り出してみると、左上に二文字。

『圏外』

陽が傾いてきた。
暗くなる前にせめて電波のあるところへ行かなければ。

そして私はあることに気がついた。

どうして人が全然いないんだろう?
ヤバい。
かなり変なところに来てしまった。

いろいろ小さなお店もある

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アリー404 ⑴ 変身したかった男

アリー404 ⑴ 変身したかった男

「どこだここ?」

俺は声に出してみた。
声は出る。
ただ、周りに人はいない。
だから誰も聞いていない。

気がついたらそこにいた。
どうやらここに来る前の記憶がないようだ。

来たことがあるような、ないような。
空き家のような古そうな住宅もあれば、真新しいカフェがあったりする、いわゆる路地裏だった。

何か思い出すかも知れないと思い、ぶらぶらと歩いてみた。
しかし似たような景色が続くばかりだ。

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『アリー404』裏話

『アリー404』裏話

各話の裏話というか、題材やモデルなどについて少し紹介するコーナーです。

最新話の裏話は次の話ができた時に公開します。

『アリー404』について・コニシ木の子さんの『なんのはなしですか』から私が迷い込んだ路地裏の話です。

『アリー404』の名前の由来や、かつての住人はどこへ行ったのかなどは少しずつ出てきますが、基本的にはどの話をどんな順番で読んでもいいように書いているつもりです。

うっかり屋

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