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社員の内発的動機付けのビッグデータで見えてきたこと

二人の社員が同じ文化から来たからと言ってその二人を同じようにマネージすることは間違っている

著:Daniel Bodonyi, 及びCasey Wahl

異なる国や地域の文化に違いがあることはある意味当たり前ですよね。この「文化」の違いをよく「価値観の違い」として多くの人は解釈してしまいます。当社Attunedでは世界中から集めた人のモチベーションに関する独自のデータを持っているので、そのビッグデータを分析し、多くの人が持っているある国の「文化」の印象が実際のその国の「価値観」に関するデータとどれほど違うのかを調べてみました。

3000人以上の回答者から得たデータを日本、欧州、米国に分けて比べてみました。これは3万7千行ものデータに匹敵する量です。

「文化」がどのように「モチベーション」や「価値観」に影響を及ぼすのか、またそれが日本と欧米と比べてどう異なるのかを調べました。これは日本から外国に進出する企業にとっても大事な質問である上、日本で働く外国人にとっても重要なことです。もし日本人の価値観が欧米と大きく異なるのであれば、外国から来た人をマネージする際にはマネジメントの方法を変える必要が出て来ます。新しくマネージャーになった方が様々な国から来た社員のリーダーとなった場合、この調査結果はとても貴重な情報になることは間違いありません。

「モチベーション」の多様性はどの国も変わらない


Attunedのデータによると日本人と欧米人の「価値観」に関する差はほぼ無いことが明らかになりました。内発的動機付けの基となる価値観は国籍が異なっても統計学的に差は無いということです。

日本人と欧米人は同じ「価値観」から「モチベーション」を得ている、ということになります。これは皆が同じ「価値観」がベースとなって「モチベーション」を得ているということではありません。個人の「価値観」の多様性は国や地域が変わっても同じだということです。あえて統計学的に異なるポイントがもしあるとすれば欧米の人は何かを決める時に分析やデータをより大事にしていると言えます。また日本人の特徴としては何かを決める時に他人の気持ちを大事にするという傾向があります。但し、「価値観」の多様性に関しては日本人も欧米人も変わらないのです。

結論として言えることは、人の文化や国籍などは社員を動機付ける「価値観」にそれほどインパクトは無いと言うことです。

「モチベーション」と「マネージメント」に大事なのは社員一人一人の価値観が違うと認識すること


我々の結論は米ウィスコンシン大学マディソン校のバリー・ゲルハート教授や台湾のNational Central UniversityのMeiyu Fang教授などの調査結果と同じ結論が出たと言うことです。個人が持つ価値観の分散のたった2−4%が国籍の違いによるものだと彼らは指摘しています。言い換えると96%以上はまだ理由が証明されていないということです
以下をご参照下さい。
https://doi.org/10.1080/09585190500120772
https://en.wikipedia.org/wiki/Geert_Hofstede

これからグローバルに羽ばたく日本企業にとってはとても重要なポイントだと思います。文化的な違いによって習慣、コミュニケーション、や行動が異なってくることは無視できませんが、「価値観」の違いが文化的な違いの要因であるとは限らないのです。個人がそれぞれ持つ「価値観」からくる「モチベーション」の違いは国籍などの違いと比べて何倍も重要であるということです。

言い換えますと会社やマネージャーは同じ文化から来た二人の社員を同じようにマネージするべきではない、と言うことです。また逆に文化的な違いがあるからと言って組織やチームのギャップが埋められないことは無い、とも言えます。国籍又は年齢や性別などをベースに「この人はあんな人」と決めつけず、マネージャーは一人一人の社員を個人として見て、彼らの「モチベーション」の基となる「価値観」をベースにマネージすることを心掛けると良いでしょう。

データは嘘をつきません


サンプル・データ
日本、欧州、米国を内発的動機付けのカテゴリーをいくつか選んで比較しました。

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日本、欧州、米国の内発的動機付けの比較

その他の情報はこちらへ:

https://en.wikipedia.org/wiki/Geert_Hofstede

National culture and human resource management: assumptions and evidence, Barry Gerhart & Meiyu Fang, https://bit.ly/2JvFO65

Trompenaars, F. and Hampden-Turner, C. 1997. Riding the Waves of Culture: Understanding Cultural Diversity in Business, 2nd edn. https://bit.ly/30gULj8

Understanding compensation practice variations across firms: The impact of national culture. Schuler, RS (Schuler, RS); Rogovsky, N (Rogovsky, N) https://bit.ly/2XWeRBO

Rethinking individualism and collectivism: evaluation of theoretical assumptions and meta-analyses.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11843547?dopt=Abstract

Hofstede's model of national cultural differences and their consequences: A triumph of faith - a failure of analysis. McSweeney, B https://bit.ly/2RW3jZM

Hofstede, G. 2001. Culture's Consequences: Comparing Values, Behaviors, Institutions, and Organizations across Nations, 2nd edn https://bit.ly/2RVElJQ

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Attuned
https://www.attuned.ai/jp/home/


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