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うつ病を乗り越えるために最も大切だったこと

うつ病を乗り越えたいま、乗り越えることができた最大の要因は何だったのだろうなと考えました。

私のうつ病体験記はこちら。

うつ症状からの回復には、単にこれだけをやっていればよかったということではなく、複数の要素が重なり、作用し合ったことで回復できたように思います。

回復までには複数のターニングポイントがありました。

最初のターニングポイントは、発症から一年が経過したあたりに訪れました。

そして、そのターニングポイントが最初にして最大のターニングポイントだったように思います。

今回は、私がうつ病を乗り越えるうえで最大のターニングポイントとなったこと、うつ病を乗り越えるために最も大切だと思っていることについて書いていきます。

最も大切だったこととは?

最初に結論を書いてしまいますが、うつ病を乗り越えるために最も大切だったこととは、

うつ病と向き合い、乗り越える覚悟を決めたことでした。

いや、うつ病を乗り越えるんだからそれは当たり前なのでは… と思う人もいるかもしれません。

しかし、覚悟を決めるということは、無気力、無力感、意欲の喪失という、うつ症状を患っている人にとっては、身体や思考と相反することを行うため、かなりハードルが高い行為なのです。

ハードルが高いことを言い訳にしてはいけない

私はメンタル疾患についての知見をより深めるため、よく樺沢紫苑先生の動画を見ています。

樺沢先生が投稿されている動画の中で、このような動画がありました。

動画の内容は、うつ病の治りが遅い人の共通点として

1. 飲酒の習慣がある
2. 昼まで寝ていて、体内時計がおかしくなっている
3. 運動不足である

という 3つの共通点があり、解決策として、
毎日 30分、それが難しければ 15分の朝散歩を勧めている内容になっています。

樺沢先生がどういう人なのかは実際にお会いしたことがないのでわからないですが、動画で話されていることは明らかな事実だと思います。

うつ病は脳内でセロトニンが足りなくなっている状態なので、朝日を浴びることで光刺激が網膜から入り、セロトニンを生成させる。加えて、散歩という一定のリズム運動を組み合わせることでセロトニンを活性化させる。

とても合理的です。

しかし、この動画には千件以上のコメントが投稿されており、高評価とされているコメントには以下のようなものがありました。

散歩できてる時点でうつ病ではないと思う

早起きなんてできない

それができるのであればうつ病になんかならない

これらの投稿を見ていて、
私がうつ症状から回復できた最大の要因は、乗り越える覚悟を決めることができたことだったのだと確信しました。

目的のすり替え

動画のコメントを読んで初めに感じたことは、コメントを投稿された方は本来の目的を見失っているのではないかというものでした。

体が重たい。
頭が働かない。
辛い。
憂鬱だ。

これらの体調の悪さを伝えることは手段で、本来の目的はうつ症状を改善させることであったはずです。

それがいつしか、

こんなに体調が悪いのに全然配慮されてない。
こんなに体調が悪いのにわかってもらえていない。
こんなに体調が悪いのに優しく気遣いされていない。

と、同情されることが目的になってしまったのではないでしょうか。

うつ病を乗り切れたいまだから言い切れますが、同情の先に改善はありません。

そこに留まり続けることを望むのなら、それで良いのかもしれないですが、本当に思い悩んでいる人は一刻も早く現状から立ち直りたいはずです。

そのためには、相応の覚悟が必要になります。

強く静かな覚悟を

うつ病を乗り越えたい。

私がそう思った時、初動は正直根性論のようなものでした。

このままでいいはずがない。
自分の未来を諦めたくない。

鉛のように重たくなった身体と思考と向き合いながら、ゆっくりと自問自答を繰り返し徐々に強い覚悟を形成していきました。

根性論と書きましたが、それはやる気をみなぎらせて活動していたという意味ではありません。

静かに、十分に時間をかけて、現状を変えて行こうという強い意識を根付かせていったのです。

覚悟さえ決めてしまえば、あとは必然的に改善へと向かい思考し行動できるようになると思います。

例えば、先ほどの樺沢先生の動画を観たとするなら、

現状の体調を考慮すると、外に出ることは難しいな。だったら、明日の朝目が覚めたら、這ってでもすぐに窓の近くに行って朝日を浴びてみよう。

このような思考に辿り着けるはずです。

うつ病の期間というのは、真っ暗闇で先の見えない海を渡っているようなものだと思います。

私は、うつ病を乗り越えるという覚悟を決めることができたからこそ、それを導きの灯りとして渡り切ることができたのだと思います。

やる気という虚構

どんなに強い覚悟を持っていたとしても、起き上がって窓際に行くことさえ辛い日が来るかもしれません。

私はうつ病を発症していた時、特に、目が覚めるとすぐに強烈な不安焦りが脳内で超スピードで渦巻き、胸が苦しくなり、ベッドから出ることがとても億劫でした。

もともと朝が強いほうでもなかったので、正直、いまも億劫な日はあります。

最後に、そんな時に役立つかもしれない、私も実生活に取り入れている一つの解決策を紹介してこの投稿を締めたいと思います。

東京大学で脳研究をされている池谷雄二先生は、人間の「やる気」についてこのように述べています。

- 「やる気」という言葉は「やる気」がない人間によって創作された虚構

- 人間は行動を起こすから「やる気」が出てくる生き物

- 面倒なときほど、あれこれ考えずにさっさと始めてしまえばいい

つまり、人間は最初の一歩さえ踏み出してしまえば、後は徐々にやる気が出てきて行動できるようになる生き物だということです。

ただ、うつ病を患っている方は思考が混沌に陥り、この最初の一歩を踏み出すことがなかなか難しい日もあると思います。

そこで、私はベッドから出ることが億劫な日は、ベッドの上で全ての意識を自分の感覚に向けるということをやっています。

さらさらとしたシーツの感触。外から聞こえる朝の音。身体を撫でるゆるやかな風の通り。体内を巡る呼吸。

負の感情を鎮静化させるため、自分をいわゆるマインドフルな状態に持っていくのです。

しばらくすると感覚が思考を上回り、精錬されていきます。

その状態で、何も考えずに一歩踏み出します。

後は、流れに身を任せるだけです。

うつ病を乗り越えるために最も大切なことは、うつ病を乗り越える覚悟を決めること。

これは、私がうつ病を経験して学んだ一つの真理だと思っています。

ただ、実際に一歩踏み出す時には、やる気や頑張りはうつ病と相性が悪く、足かせになってしまうかもしれません。

一歩踏み出すまでは、強い覚悟を。
一歩踏み出す瞬間は、無意識で穏やかな一歩を。

この記事が誰かのお役に立てたのであれば幸いです。

それでは。

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