空間・資源・知性の制約を克服する

 「#30年後あったらいいな」という設問は、夢があって、一見簡単に答えられそうにも思えるが、実際にはこれ以上の難問はない。

 30年後と言えば、ほぼ2050年、21世紀中葉のことになるが、その頃のことを予測するとなると、第一に、時代の進化のスピードを推し量らないといけないし、第二に、人類にとって何が大切かという根源的な価値観の問題でもある。何も難しく考える必要はないのだが、私は、あれこれ思い巡らしているうちに、この罠に陥ってしまった。


 まず、第一の、今後30年間に時代がどの程度のスピードで進化していくかという点に関しては、技術の指数関数的な進歩には計り知れないものがあり、かなり大胆な予測も許されるのではなかろうか。

 ブレークスルーのチェーンリアクションの効果を緻密に予測することなど、あらゆる学問分野に精通した超人的に博識な未来学者にも不可能だと考えられる……。つまり、何が起きてもおかしくはない。


 第二の、人類にとって何が大切かという価値観の問題は、「30年後にあったらいい」ものと密接に絡んではいるが、もちろん、人によって考え方は自由だし、今この場で検討すべき必須項目な訳でもない。ただ、頭の片隅には置いておいて、この観点から自分の見解を検証する作業には、一定の意味があるように思う。何故なら、あったら良さそうに思えるもの、便利なものが、必ずしも人類にとって有益なものとは限らないからだ。

 例えば、SF好きの私は、「#30年後あったらいいな」という設問に接して、最初、『タイムマシン』を思い浮かべた。でも、思い浮かべてすぐに修正を加えた。実際に時空を飛び越えて過去に侵入すると、過去が改変されておかしなことになる。そのようなタイムパラドックスを回避すべく、『見るだけのタイムマシン』というのを考えた。特定の時空に焦点を合わせて見るだけなら、何も起きない……。ところが、思い巡らすうちにあることに気付いた――『見るだけのタイムマシン』を駆使して、過去に起きたことを全てつまびらかにしてしまったら……。そこには、最早、歴史学の出番はない。私達が歴史として信じていたことが大幅に変更されて、大混乱が起きることは必定……


 ここまで考えて、私は、この議論にはキリがないことに気付いた――だったら、素直に『あったらいいな』と思うものを列挙してみることにした――。


(1)ワープ航法~空間の制約の克服~

 人類は、ワームホールを使って超光速で空間を移動する航法を開発し、銀河系への植民を開始、宇宙人との交流が始まる。そんな事が現実となったら、人類が種として地球から旅立つ、本格的な宇宙時代の幕開けとなります。


(2)人工食と人工エネルギー~資源の制約の克服~

 最近の日経電子版の記事が、とても印象に残りました。


(3)AIとの協働~知性の制約の克服~

 今後の30年間は、人類にとっての試金石となると思います。人類が自ら負の遺産に溺れるような事がなく、AIとの関係を過たずに共存共栄の道を見い出せれば、輝かしい未来が開けるのではないでしょうか。

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