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『天使の翼』第11章(106)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「デビルの精は、全て、家内工業で生産されています――」
 早く話題を転じたかったのか、少佐が語り継いだ。
 「――そのことは、法律にも明記されていて、デビルの精は、狩猟者のグループが自ら加工しなくてはならないとされ、一部の貴金属にあるような独占的大企業は存在を許されないのです。さらに、法律は一歩踏み込んで、デビルの精を原料にして、二次加工品、例えば工業型の医薬品や、デビルの精入りの健康食品のようなものを製造することも一切禁じています――」
 「『禁じる』ということは、違反行為が現実に起きている、ということですね?」
 シャルルが、すかさず突っ込んだ。
 わたしは、ひやひやすることに疲れ、呆れてしまった。あまり追求すると、少佐は黙ってしまうんじゃないか?……それとも、もうこれ以上の収穫は望めないから、何か決定的なことを一つ見極めようとでもいうのか――

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