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『天使の翼』第12章(56)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、前を行くデビル達と湿りを帯びた洞窟の壁との間の狭い隙間を、デビル達の横っ腹にぶよっぶよっと手を突きながら駆け抜けた――一匹、二匹……四、五、六……八匹……九!
パッとまぶしく周囲が開け、わたしは、断崖絶壁からせり出した岩棚の上に走り出ていた――危うく急ブレーキをかけ前のめりに立ち止ったわたしの全身を、夏とまではいかないが、明らかに初夏の風が吹き抜けた。強い風……。
わたしの眼前に、連山に縁どられた、広大な盆地が広がっていた――はるか遠くまで盆地を囲繞して連なる峩々たる山々の頂は万年雪におおわれ、盆地の底には、豊かな緑が生い茂り、川と湖がある――
そして、盆地の上の遮るもののない青空に、幾百、幾千のデビルの舞う姿があった。
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