『天使の翼』第11章(108)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「しょうがない。あと少しだけ話します――あくまで仮定の話として」
「あら、私達、最初から仮定の話をしてるんじゃなかったかしら」
ローラは、ウインクして見せた。
「……誰かが、不老不死とは言わないまでも、寿命を著しく伸ばす目的でデビルの精の徹底的な研究をさせ、しかも、薬剤化させたとします。最高の品質のものは量が極めて少なく、自分で使う分を除けば、残りは少ししかない。あなたなら、その残りをどう使います?」
少佐が、急にわたしに振ってきた。
「……売る?極めて高額のユナイトで……」
「僕なら人を買収するのに使うな」
シャルルだった。――わたしの脳裏に、死んだ公爵、そしてサンス大公のイメージがよぎった。二重三重の癒着構造……最近のわたし、何でもかんでもそっちの方に結びつけようとしている……
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