『天使の翼』第12章(83)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「わたしは、風のデイテ!――」
エリザの逞しい首筋を、いとおし気に撫でる。
「――マウンテン・デビルの背に乗って旅する吟遊詩人!」
……わたしは、あえて帝国から来たことを言わなかった。考えてみれば、自由民だから、もともと国境は関係ないのだけれど……
「こちらのお姉さん……あら、あなた達、このデビルが雌、女性だって分かった?」
わたしは、耳の後ろに手のひらをあてがって、住人たちの返事を待った――どんな共同体にも、必ず受け狙いの人間がいるものだ…………
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