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潜んでいたサプライチェーンのボトルネック

 日経電子版の記事【トイレットペーパー品薄 物流の弱点「3つのK」】では、今般のコロナ禍において、SNSの誤情報をきっかけに全国で発生した品薄騒動にあって、製紙会社等が「生産量や在庫は十分にある」と消費者に訴えてもなお、なかなかトイレットペーパーが店頭に並ばないのは何故か(最近は回復傾向)、その意外なボトルネックがリポートされています。



 なかなか店頭に並ばないのは、たとえ生産量・在庫に不安はなくとも、現実に品薄になっている以上、消費者が確保に動かざるを得ない状況があるのでは……と漠然と考えていましたが、実際には、一般には知られていない、サプライチェーン上のボトルネックが厳然として存在していた訳です。

 さっそく、記事からそのボトルネック「トイレットペーパー品薄の3K」を整理してみると――

▶「トイレットペーパー品薄の(物流上の)3K」とは

(1)トイレ紙はさばる
  ・・・さばって、積載率が低く、運んでも儲からない
  ・・・さばって、店舗での保管に限りがあり、ほぼ毎日少量ずつ配送
   する必要がある。

(2)トイレ紙は重くてつい
  ・・・積載率を少しでも向上させるため、フォークリフトではなく手作業
   での積み下ろしになる。
  ・・・身体的負担の大きい紙製品の配送は、ドライバー確保が困難にも。

(3)トイレ紙を緊急輸送した帰り道がらっぽに
  ・・・採算が厳しいなか、「空っぽのトラック」を走らせることはできる
   だけ避けたい。
  ・・・この状況を打破すべく、荷主と運送会社をマッチングするサービス
   も活性化。



 考えてみれば、そもそも、私達の日常に欠かせない商品が私達の手元に届くまでには、サプライチェーンの長~い連鎖がある訳です。そして、そのサプライチェーンは、グローバル化や、様々な商習慣、作業的・経済的な制約などによって、複雑で長大な鎖となっています。

 複雑で長大である、ということは、その鎖のどこか一カ所でも綻びが生じれば、たちまち全体が滞る脆弱性を抱えている、という事に他なりません。この記事は、改めて私達に、危機下のサプライチェーンのボトルネックの怖さ、サプライチェーンに潜んだリスクの存在、日頃からの検証の重要性を教えてくれているようです。

 AI・IoT・ロボット・マッチング・IT・DX、あらゆるテクノロジーと施策の実力、そして社会実装が試されています。

▶ 複雑化・長大化するサプライチェーン
 =原料調達⇨製造⇨在庫管理⇨配送⇨販売⇨消費
       ↑   ↑      ↑    ↑   ↑
                リスク リスク   リスク リスク リスク
       ↑   ↑      ↑    ↑   ↑
   どのようなテクノロジー・施策で対処するか?




(付記:2020年5月19日、皆様のおかげをもちまして、noteへの連続投稿が500日を達成できましたことに、改めてお礼を申し上げます。下記の拙稿で振り返りをしています。




連続投稿502日目
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