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『天使の翼』第11章(70)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 ローラの言葉を素直に受け止めるなら、埋葬を厳かに行なうことは、殺傷で傷ついた良心を補修するための一種の昇華行為ではないか、などと勘繰るのは、生半可、社会心理学に関心のあるわたしの、浅はかな即断にすぎない、ということになる……
 「……ある特定の組織が、特定の物品を独占的に囲い込んでいる時――」
 シャルルは、構わずに、お得意の分析を披露しようとしていた。――今から考えると、シャルルの話した内容は、その後に起きたことの不吉な前兆、予言としか言いようがない――
 「――そこには、必ず闇市場が生まれる。『この宇宙に、ブラック・マーケットの存在しないものが、一つだけある。それは、聖薬だ』と言ったのは、第7代皇帝フェルディナンドだけど、彼の言葉を引用するまでもない、簡単に言うと、自分の懐を肥やす為に、横流しをしようという人間が、必ず出てくるんだ……外から見れば、それは、密輸という事になる。非常に危険な行為だ――僕なら、そこまでのリスクを犯してまで金を稼ごうとは思わ――」
 シャルルの言葉は、突然の急ブレーキでさえぎられた。その衝撃は体、いや内臓にガクンと来て、進行方向につんのめった。

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