『天使の翼』第11章(97)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「そ、それは……」
少佐は、さすがに困った風だ。
ローラは、さらに大胆に駄目押しに出た。――後ろから、シート越しに少佐の肩をぎゅっとつかんだのだ。わたしの方を見てにやりとした彼女は、「男にはこれが効くのよ。ちょっと力を込めて体に触れることが」と、目で言っていた。
「うーん、困りましたね……」
もう話す気になっている。少佐は、確かに優秀には違いないが、特権的機関に所属している優越意識のなせる業か、ガードが甘い。
「逮捕したのは、デビル・ハンター族と呼ばれる狩猟民です。彼らは、マウンテン・デビルと呼ばれる…………」
わたしは、デビル・ハンターに関する基礎知識くらいはある、と言おうとしたのだが、シャルルにギュッと手を握られ、制止された……なるほど、余計なことを言って、聞けたはずのものが聞けなくなるのは愚かだ。些細なことの中に重要な情報が紛れていないとも限らない――
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