5Gのキラーコンテンツ、そして、その先の顧客接点へ

 この記事【eスポーツに5Gを、ドコモなど期待 東京ゲームショウ】は、改めて、5G普及の起爆剤となるような、圧倒的な魅力のサービス、キラーコンテンツは何か、という事を想起させてくれます。

 どんなに素晴らしいテクノロジーがあっても、そのテクノロジーそのものだけで普及する訳ではありません。普及するのは、あくまでそのテクノロジーによって実現される全く新しいサービスの方です。つまり、そのテクノロジーによって実現されるサービスが、卓越したUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインでユーザーの心に刺さった時に、そのサービスはキラーコンテンツとなって、結果として基となったテクノロジーの普及を促します。大容量化・超高速化・低遅延化といった性能を誇る5Gのキラーコンテンツになるのは何か?

確かに、『eスポーツ』は魅力的で、急拡大が予想されますが、『eスポーツ』というキラーコンテンツだけで、5Gが爆発的に普及するようにも思えません。

例えば、現状、お客の買物の悩みに寄り添って、そのお客にパーソナライズされた情報を提供するという接客サービスでは、リアル店舗がオンラインショップよりはるかに優位に立っていますが、将来、ECサイト上に、クラウド上のAIと繋がったバーチャルなコンシェルジュが登場して、オンラインで接客が可能となるような技術が確立されるかも知れません。具体的には分かりませんが、大容量化・超高速化・低遅延化といった性能を必要とするサービスが出現してくることが、5Gの普及のカギを握っていることは間違いないと思われます。

そのようなコンテンツに、さらに決定的と思われるのは、IoTデバイスの幾何級数的な増加などが加算されて、5Gは、確実かつ急速に普及していくと考えられますが、その事が意味しているのは、他のあらゆる時代の産業でもそうだったように、最も肝心なのは、顧客接点の確保という事になりそうです。有名な例では、郵便システムに着目したシアーズのカタログ通販、カタログという顧客接点が思い出されます。

顧客接点は、文字通り、サービスに付随する接点ですから、キャリアは、単なる5Gのインフラ提供者に終わるのか、それとも、5Gを活用したサービスの提供者として、顧客接点を確保し、顧客情報を蓄積して新たなビジネス、イノベーションを生み出し続ける成長の種を手に入れるのかの分岐点に立っていると言えそうです。

 そこで思い出されるのが、楽天の存在です。「5Gは後発優位」(日経電子版の記事【「5Gは後発優位」携帯参入、楽天・三木谷社長の強気】参照。本稿末尾に添付)と言う楽天が順調にキャリアとしてのスタートを切れば、キャリアとコンテンツが融合した、膨大な顧客接点を持つ企業が出現する訳で、5Gの時代に魅力的なサービスを持たないことは、キャリアとしてネガティブな要因、顧客の流出にも繋がってしまうかも知れません。記事を通して、5Gが先か、顧客接点が先か、熾烈な競争を垣間見たような気がします。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35557760Q8A920C1000000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27494420Y8A220C1000000/

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