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『天使の翼』第12章(54)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 洞窟……わたしが運命の導きで迷い込むことになった洞窟は、気流などの不可抗力で、マウンテン・デビルが本来の生息地の外にランディングしなくてはならなくなってしまった時、彼らの王国へと取って返すための避難路のようなものだった。
 手早く食事を済ませ、暗視ゴーグルを装着して、わたしは、デビル達の後を追った。彼らは、幼獣の気配にただならぬもの、つまり、わたしの存在を察知して、9匹で山を――もちろん、洞窟の中――下ってきたのだった。無数にいるように感じられたのは、わたしの思い過ごしなのか、彼らがそう思わせたのか、今最後尾を行く母獣の前にいるのは8匹だけだった。
 洞窟は、古代の軌道鉄道が、高度を稼ぐために工夫した『ループ』と同じ原理で、山体の中を上へ上へと昇っていく。最初は気付かなかったのだが、微かに左に湾曲しながら、左上、左上へと、一体何回周回したことだろう……。そろそろ母獣のセクシーなお尻を見るのも飽きてきたころ、前方に、明かりが見えだした。

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