『天使の翼』第12章(48)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「また飛べるようになるわ」
わたしは、彼女の鼻面を撫でた。
彼女の傷を、洗うべきか、わたしは悩んだ。下手に水をかけて洗っていいものやら……それは、きっとこの子のお母さんが――
「えっ?」
わたしは、声をあげていた。――なにか、感じた。間違いなく、何かを……
わたしの前腕から、肩、全身へと、鳥肌が走った!
わたしは、洞窟の入り口の方を向いていたから、まるでスローモーションになったような按配で、そろりそろりと背後を、洞窟の奥を顧みた……
(何かいる)
目を凝らしても、何も見えない。でも――
(たくさん、いる……)
…………
何かがゆっくりと前進してくる気配があった。……微かに洞窟の床を擦る音……
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