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【物書き部企画】やりたい事を追求してたら教頭先生という仕事に辿り着いた

物書き部 〜第二章〜 Presents
田村淳の大人の小学校・すばらしき児童たちのインタビュー記事
田村淳の大人の小学校・すばらしき児童たちとは?


今日のインタビューは教頭先生をされている方をインタビューしました。若い時から公務員や、教師の仕事には興味がなく、明日がどうなるか分からないような、やりたいことをやって生きる人生!を目指していたくわとろさん。
やりたい事を追求し、色々な仕事を体験して辿り着いた職が、ザ・公務員の教頭先生だったという。

その経緯や、今、教育現場で変えようとしている事、目標としている事などを、インタビューしました。


さらに、このインタビューは音声でも聞けるようにしました!

ではインタビューの本文はこちらです!


1)あなたのお仕事はなんですか?

公立小学校の教頭です。通信教育で35歳の時に教員免許をとり、そこから2年後に転職して学校の先生になりました。


37歳の時です。教員を8年やったのち、教頭試験を合格して教頭になりました。それから3年が経ちます。


教頭の仕事は先生の指導や、教育委員会と学校の架け橋、電話の対応、「学校の何でも屋」と言ったら良いのでしょうか。


誰もがやりたがらない仕事が多いかもしれませんね。でも、だからこそ私にとっては、とてもやりがいがあるのです。


誰もができることではないですからね。


2)なぜこの仕事をやろうと思ったのですか?

正直、学校の先生はブラック企業のようなイメージがあって。笑

やりたいくない職業のナンバーワンでした。


公務員みたいな安定したレールの上を歩むような人生は嫌で、明日がどうなるかもわからない仕事をしたい、と思っていました。


そして、引きこもりの相談員を3年、その前後は対面や非対面(クリーニング屋の配達など)の仕事やバイトを比べた時に、対面の仕事の方が自分に向いている、そして人の役に立つ仕事がしたいと思いました。


引きこもり相談員をやっていく中で、引きこもってしまう人の大半が小学校の時の人間関係でつまずいたことがきっかけ、という事が分かりました。例えば友達とのトラブル、いじめや先生に嫌なことを言われた、など、ささいな事がきっかけで学校に行けなくなってしまい、学校に行けないまま大人になってしまった人に大勢会いました。


それをどうにかしたい、引きこもりをこの世から無くしたいと考えるようになりました。自分が先生になってトラブルを解決できないか、と考えるようになったのが教員になろうと決めたきっかけです。心理検査(学校機関でやる心理検査や学力検査などの本)を扱っている出版社で働いた時に、営業でたくさんの先生にあってから、教師という仕事をするにはどうしたらいいか、具体的な資格、教育免許を取るまでに至りました。


教師になってから、担任を受け持ち、3年持ち上がりで担当したクラスが卒業した時に大きな節目を感じました。そのタイミングで校長に「教頭試験を受けてみないか」と聞かれ、必要とされた場所で頑張ってみよう、と挑戦した結果、教頭の職につきました。


今は教頭になって、2−4年おきに担当の小学校を転々とします。行く学校によって、先生も生徒も、親の関心度も違ってきます。そこをどう良い方向に変えていくか、という事をいつも考えています。

3)あなたの学校で取り入れている、他校では珍しいことはなんですか?(学校の特性など)


教頭として移動するときに、もしその学校になかったら取り入れる、ことが2つあります。

異年齢交流と別室登校です。


A:異年齢交流


異年齢交流とは1年生から6年生までの学年の違う子供たちが一緒に何かを行う、という事です。


例えば集団登校で年齢の違う子供達が5−10人、1つの班で近所に集まり、一緒に登校します。高学年が低学年の手を引いて登校することで責任感が生まれ、低学年は逆に高学年に憧れを持てます。自分も大きくなったらこういう風に優しく接したいと、向上心のサイクルが生まれます。集団登校を始めた結果、遅刻が減りました。


他には縦割り班、という異年齢の班を組み、集会の時間を設けて15分程度のゲームをみんなで行います。


ゲームには例えば、

背の順に並び替えましょうゲーム

おあいこじゃんけん=全員とあいこになるまでジャンケンをするゲーム

ボールを回しながら音楽が止まった人が自己紹介をする

異年齢交流をすることで、子供たちが活躍できる場所が増えます。例えば高学年の生徒が低学年の生徒の面倒を見る。普段勉強や運動が苦手な子でもこういう場ではとっても面倒見がいい子もたくさんいます。


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学校っていうのは教科の答えが出る勉強を教える場所ではなく、話し合いを沢山したり、自分の考えを表現したりする場所を提供できます。


頭のいい、勉強のできる児童ばかりではありません。ルールを破る、喧嘩のトラブルがある、というのが日常です。そんな答えのない問題点を考えさせる、思い通りに行かない時にどうすればいいか、社会に出てからも学校で学んだこういったスキルが活かせる指導を目指す一環で、こういう異年齢交流をしています。


B.別室登校


学校に行きたくない、教室には入りたくない、という子のために居場所を作る取り組みです。空いている教室を使ってそこで個別に勉強を教えたり、学校に戻れるような声かけをしたりします。不登校や引きこもりを減らす取り組みです。

4)この仕事をしていて大変なことはなんですか?

✅座っていられなくて教室を飛び出してしまう子の対応

✅無理難題を言う保護者の対応(クラスを変えてほしい、担任を変えて欲しい等)

✅先生の対応

最初の2つの問題点というのは教師として、むしろやりがいのある点です。一番大変だと思うのは、「先生の対応」です。普通の会社であれば上下関係がある程度存在するため、上司にここまで言わないだろうな、という事を言ってしまう、そういった言動をする先生が稀にいます。


一部に、定年までとりあえず最低限勤めればいいやという態度の先生や、歪んだ正義感で、「子どもの為」と言いつつ責任回避をして仕事を減らそうとする先生がいます。


そういった先生を見て、幻滅して辞めていった先生も少なくないと思います。いい人が辞めていくのは本当に残念です。


若手の人材育成、中堅リーダーの育成をしたい、そのためには社会人経験のある人にどんどん先生になってもらって、この教員の世界を変えてみたい!と思っています。


5)若い頃の自分にアドバイスするとしたらなんですか?

大学を卒業してから、2年半くらいバイトしながら「やりたいこと」を探した時期があったんです。でも経験値が少ないとやりたいことなんて見つかる訳がないんです。


だから若い頃の自分には「ごちゃごちゃ言わずにとりあえずなんかやれ」って言いたいです。明日には死ぬ、と思ってがむしゃらに動いた後に、やりたい事ってなんだろうと考えればいい。


いろんな人に出会って、

一つではなく、たくさん体験する。違う考え価値観をたくさん吸収して、経験することで何かが見えてくると思います。


そしてなんのために生きているのか考えてみることもやりたい事を探すためには欠かせません。


例えば、成功をしてお金をガッツリ稼ぎたい、と思うじゃないですか。

成功して、お金が出来たらその後はどうするのか?


それが出来た後にどうすれば満足するか、を考えると、多分、そのために生きているって分かるはずです。私を例にとると、人の役に立とうとして動いたときに嬉しい、と感じるし、満足します。だから人の役に立つため、に生きているのだ、と思います。


6)あなたの座右の銘はなんですか?


何かを始めるのに遅い、ということはない。


「出来る」も「出来ない」も決めてしまうのは自分です。諦めずに、夢を追いかけ続けて、後悔しないように決めるようにしています。


あとは


謙虚と感謝。


教師って、職業柄、「偉そう」にしている人って多いんですよね。笑

簡単に謝らないとか。


でも周りの人のおかげで自分がいる、という事を常に忘れないようにしています。

7)今後の目標はなんですか?

最大の目標は、一人でも学校の先生になる人を増やすこと!


学校の先生って、本当に楽しいんです。こういう機会に先入観を取り払って先生になってみたいな、と思う人を増やしたいです。


例えば

教えたことによって漢字テストがいつも10−20点だった生徒が100点を取る。

チック症状で、いつも咳をしていたような子が、卒業式で誰よりも大きい声で堂々と呼びかけをした。

すぐに拗ねていた子が運動会で優勝旗を持って入場行進をした。

虐待やネグレクトを児童相談所と協力して減らす。

ずっと遅刻や休んでいた子が、根気よく声をかけることで休まなくなった。


子供だけではなく、自分も、親も成長できる、そんな場所です。

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インタビューは以上になります。くわとろさん、休日にインタビューに応じてもらいありがとうございました。


やってみて経験値が上がらない限りはやりたいことなんて見つけられない、というお言葉、身に染みました。


この文章で、学校の先生って面白そう、と思ってくれる人が一人でも出てくれたら光栄です。

「インタビューを受けた人」
2期生くわとろさん

「インタビューをした人」

3期生 Natasha 


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