見出し画像

#10 新年迎えました in ボリビア 2022

2021年12月31日 viernes
-
今年最後の一日。どう過ごそうか。今日も朝からとても明るく眩しい。
年末の市場はきっと賑やかだろうから、いつも行くメルカド ロドリゲスへ出かけることにした。それと、ボリビアにいる間に弾けるようになりたい「チャランゴ」も見に行こう。
今年最後の日なので(ということは、あまり関係ないけども)半袖を解禁。チョリTを着て出かけた。チョリータさんの本拠地(というわけではないだろうけど)ロドリゲスに、このTシャツを着ていくのは、少し勇気がいる。
いざ本丸へ。

画像1

(※余談ですが、このTシャツを着ていてチョリータさんから何かしらの反応を示されたことは一度もありません。)

いつもに増して、ぎゅうぎゅうにレイアウトされたお店。食材から日用品、お花、衣料品まで、新年の準備に買い物袋をパンパンにして歩く人、人、人。年末の活気を感じる。

画像27

画像29

画像29

午前11時。日本の新年を迎える時間になり、あけましておめでとうのメッセージを送りつつ、市場を歩く。そして今日は、あちらこちらに、赤と黄色のパンツを売るお店が出ている。これはどうやら運気をつかむ縁起物らしく、赤は愛、黄色はお金、をゲットできるように新年にはくといいらしい。それにしてもパンツが大きい。

画像26

買い物に加えて、新年の多幸を祈祷する儀式のようなものが行われているのも見かける。近くに寄ってちょっとだけ煙をあやかる。

季節の節目にこういった祈りの儀式や習慣が見られるボリビア。私はこの後立ち寄った Mercado de las Brujas[メルカド デ ブルハス]=魔女市場 で、幸運のお守りを買った。2022年、健康で過ごせますよう、そしてプロジェクトが良き方向に進みますよう、ボリビアの大地の神様にも応援してもらいたい!小さなボトルの中に入っているものによって、ご利益が変わるらしい。

画像2

お店の人のすすめで、蹄鉄が入ったものを選ぶ。蹄鉄はBuena suerte[ブエナ スエルテ]=幸運。だから、すべてにおいて良い、と。

画像3

ボリビアでは、母なる大地の神様 Pachamama[パチャママ]の信仰が強く、大地に対して祈りを捧げる(花びらを地面にまいたり、お酒を地面に垂らしたりという)光景をよく目にする。カトリックではあるが、アンデス先住民の自然信仰が強く残っているのがよくわかり、日本人としては感覚的に馴染みやすい。下の写真はパチャママに捧げるお供えのようなものセット。

画像4

そして「チャランゴ」を売っているお店もここら辺にあるので、いくつか訪ねる。大体の相場を聞き、さらに、どこか(誰か)教えてくれるところがあるか、など聞いてまわる。あるお店では店主のおにいさんに、いろいろなチャランゴを見せてもらい、音の違いを聞かせてもらったり、日本の話をしたり。なぜか最後にエレキギターの演奏までしてくれた。

そして私のチョリTを見て、「それどこで買ったの?」と聞くので「私がデザインした」と言うと「まだあるの?ここで買えるの?」と。「日本で作ったから、ここにはない」と言うと、残念そう。ごめん。
次に寄ったお店では、店主とその友人(か、スタッフ)の男性ふたりがチャランゴを見せてくれた。ここでは週に一度、レッスンもしてくれるらしい。年明けは店が休みなので、3日の月曜日以降にまた訪ねてみようとおもう。

そしてボリビアで採れる石 Bolivianita[ボリビアニータ]=アメトリン のピアスを購入したく、お店をのぞく。一つの石のなかにアメジストとシトリンが混ざっている希少な石で、淡い紫と黄色のコンビネーションが美しい。性質の異なる石が混ざっていることから、両極のエネルギーを循環させる力を持つ石とも言われ、光と影、静と動、調和などの意味合いがあるらしい。

画像5

耳に思いっきりアルコールを吹きかけられ、6つほど試着。めちゃくちゃ迷った末に、ひとつ購入。20ボリ値切った。

画像6

それにしても外は依然暑く、夏の陽気。のども渇いていたので、帰り道、カップに入ったスイカを買う。すごく甘くておいしかった。

画像7

家に戻り、年越し蕎麦の準備。今日は、ボリビア人の友人が仕事帰りに家にきて新年を一緒に迎える予定。お蕎麦だけじゃお腹が空くかなと、かっぱ巻きも作る。料理をしていると「アツコさーん」と、ドアをノックする音。エリカさんが、お雑煮を持ってきてくれた。なんと!!!
「お餅が手に入ったので」と、エリカさんお手製のお雑煮をいただく。お腹も空いていたので、一瞬で食べてしまった。

画像9

お雑煮を食べ終え、料理のつづき。友人は遅い時間に来るので、お腹が空いている私は、ちょろちょろとつまみ食いしながら、用意。
仕事終わりの彼女が到着したのは22時過ぎ。着くなり、昨日買った飾りを部屋にデコレーションする彼女。私はお蕎麦の用意。ご飯ができて、さあ食べよう!と、すぐに食べるつもりでいた私に、「ボリビアでは新年を迎えるまで待って、0時になってからみんなで食事する」という彼女。でも結局、彼女も目の前のご飯に我慢できず、2021年のうちに完食した私たち。

画像8

お腹が満たされた私たちは、パジャマに着替え、すぐ寝られる用意をして年が明けるのを待つ。「何しよう?待つだけ?」と、そわそわする彼女。外では花火の上がる音。それが次第に激しくなっていく。
友達とまめに連絡を取り合う彼女は、ケータイの充電がなくなりつつあったとき、充電器を持ってきていないことに気づく。あと15分で年が明ける。「アツコー、もうケータイが死ぬ!充電器ーー!!」使えるケーブルがあるか、机の中を漁る私。すると部屋の窓から花火が見えることに気づいた。「あ、ここから花火見える!」花火をふたりで見ながら、ケーブルを探す。使えそうなものをようやく見つけ、充電できるか試す。PCのコネクターでは無理な様子で、「あれ?どうしよう。」「わっっ花火!すごい!」「あ、これは使えない?」、、、そうこうしているうちに、
「Ahhhh! Feliz año nuevo!!!!」(=あけましておめでとう!)と友人が私の手をつなぐ。
気づいたら年を越していました。
2021年最後の瞬間はケータイの充電器を探していた思い出。

新年を迎え、「おめでとうー、いろんな時間を共有しようね!」と新たな年を祝い、ふたりとも疲れていたので0時過ぎにはすぐ就寝。


==========

2022年1月1日 sábado
-
元旦の朝、私は7時に目が覚めた。まだ寝ている友人の向こうには、昨晩の名残が座っている。

画像13

お雑煮がわりに味噌汁をつくることにした。
大阪の友人にもらった「こんぶ土居」のお出汁で。こんぶとかつおで取るお出汁の香りに癒される。

画像10

起きてきた友人が「味噌汁を食べられる!」と喜んでいる。彼女は、コーヒーと一緒に、私がクリスマスに食べきれずまだ7割くらい残っているパネトンを食べたいと言うので、「むしろ消費してくれ」という気持ちで「ポルファボール」と、パネトンをさしだす。私の分も取り分けてくれ、コーヒーとパネトン、味噌汁が食卓に並ぶ元旦。

画像11

私はお正月仕様でエビを。エビが得意でない彼女には、年越し蕎麦用に用意した鶏肉を味噌汁に入れる。彼女は久しぶりに食べる味噌汁を「おいしい!おいしい!!」と嬉しそうに食べる。出汁にも種類があるんだよー、という話から、彼女が情熱を注ぐコスメの話。化粧や美容に関心を寄せ、けっこうなこだわりを持つ彼女は、アジアの(特に韓国)コスメにも詳しい。なぜそこまで興味を持つようになったのか気になり、彼女がメイクにはまっていく歴史について聞いた。みんな人生変えるような出会いや、ターニングポイントとなるエピソードがあるんだな、、、とおもいながら。元旦から、いい話を聞けた。
そして彼女が不意に「抹茶チョコが好き」と言ったので、羽田空港の薬局で、最後の最後に買ったそれをひとつをあげる。なんかの時に、(ボリビアの人にあげよう)と思って一箱買っておいたものだ。

「今日は何するの?」と聞かれ、特に予定はないけど、初詣感覚で、教会に行きたいな、と言ったら「今日は閉まっていると思う」と言われた。
外を歩きたいので、とりあえず教会まで行ってみることに。片付けを済ませ、一緒に家を出る。ソファには布団とシーツがきれいに畳んで置いてあった。そしてダイニングテーブルには思い出の品。

画像13

大通りまで一緒に歩き、「またね」と言って別れた。
強い日差しの中、サンフランシスコ教会へ向かって歩くと、友人が言っていた通り、教会は閉まっていた。それでも、前の広場には人がたくさん。若い子たち、家族連れ、一人でゆっくり過ごしている人、そしてアイスを売るワゴンがいくつか。

画像16

画像15

画像16

私は教会の扉の前まで行って、お寺でするように新年のあいさつをした。
そして広場にいる人たちの様子を眺めて歩き、日傘をさして腰を下ろした。30分ほどボーッと人間観察をして過ごす。しかし、暑い。

画像17

そのあと、近くを散歩。元旦から働く居眠りチョリータさん。まあお正月だし、しょうがない。とは言うものの、この光景は普段からよく見る。

画像19

いつもは賑わっている市場も今日は空っぽ。

画像18

空っぽの売店スペースには、若いカップルが腰を下ろしてイチャイチャしてたりする。たしかに、日を除けながら休憩するにはいいスペース。
ぐるっとあたりを回って、家の方向へ向かって歩く。行く道々の風景を眺めながらの散歩は楽しい。

画像21

画像22

小腹が空いたので、途中で Tucumana[トゥクマナ]を食べる。

画像20

中にはお肉、ジャガイモ、卵などが、塩気の効いた味付けでぎっしり入っており、皮はカリッと揚がっている。テーブルに置いてあるソースやサラダなどと一緒に食べられる。これは6ボリ(=約100円)。
天気もいいので、どこかテラスでビールでも飲めるところはないかとお店を探しながら帰るが、開いているところがない。外で飲むのは諦めて、スーパーでビールを買い、家の庭で飲むことにした。

画像23

快晴の昼下がり、気持ちいい風を感じながら飲むビール。最高。
小一時間、庭で過ごした後、部屋に入る。リビングで写真データの整理などしていると、外でエリカさんが水撒きをしている。「¡Hola! アツコさーん」と声をかけられ、私も外に出る。ポーチでしばらく話し込んでいたら、エリカさんの飼っている犬とネコが私の部屋に入って何かしている様子。

画像24

風船で遊んでいた形跡。

夕方は部屋でゆっくり過ごし、いろいろ残りものをかき集めて夕食をとる。

画像26

そんな感じで、ボリビアでの初めてのお正月を過ごす。

-

ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?