RevOpsの一丁目一番地を考える「状態把握」
前回の「RevOpsに思うこと」に続き、今回は RevOps(レブオップス:Revenue Operations)の一丁目一番地となる「状態把握」について考察をまとめてみました。
RevOpsが目指すところは、顧客提供価値の最大化を念頭に置いた収益の最大化を実現するために、収益に関わる各部門の状態を統合的・横断的に把握し、一貫性を持ちながら、拡張性や俊敏性を伴った事業成長が実現できることです。
この目指す過程において、透明性の高い「状態把握」ができるようになることで初めてPDCAサイクルが回るようになる、という点でRevOpsの実現にとって重要なポイントになります。
「状態把握」--そう聞いて皆さんはどのような定義をしますか?
ここでは、下記のように定義します。
・プロセスが定義され組織に浸透している
・プロセスの進捗状況が把握できている
・必要な意思決定者に情報が共有されている
透明性とブラックボックス
透明性は、信頼、説明責任、より良い意思決定を促進するため、健全で成功した組織の重要な要素になります。多くのチームが関わる組織ですが、そこに携わる方が、発生している事象について共通の理解ができるようになると複数の視点で考えやすくなります。
透明性についてもう少し深堀してみます。
❶ステークホルダーからの信頼獲得
情報がオープンに共有されることで、誤解や疑念が生じる可能性が低くなるためです。
❷説明責任を促す
行動や決定が透明化されれば、個人や組織の行動に対する責任を問うことが容易になります。
❸良質な意思決定が可能になる
透明性の高い組織は、より良い意思決定を行う傾向があります。情報がオープンに共有されることで、より多様な視点や洞察が考慮され、より情報に基づいた意思決定が可能になります。
❹社員のエンゲージメント向上
組織の目標、戦略、業績について従業員に常に情報が提供されることで、従業員は組織とのつながりを感じやすくなり、貢献意欲が高まります。
一方、「透明性がある」の逆パターンは「ブラックボックス化」です。
ブラックボックス化の状態というのは、内部の仕組みやプロセスが外部からは見えにくい状態を指します。この状態は、いくつかの課題を引き起こす可能性があります。
ブラックボックス化された状態では何が起こるか?
❶組織内の意思決定やプロセスが不透明になり、社員や関係者が理解しづらくなります。これにより、組織全体の方向性や目標に対する共感や協力が得られづらくなる場合があります。
❷意思決定が透明性や情報の欠如に基づいて行われることがあります。これにより、意思決定の質が低下し、結果として組織のパフォーマンスや成果に悪影響を与える可能性があります。
❸部門間や個人間でのコミュニケーションや協力が難しくなる傾向があります。これにより、組織全体での効果的なコラボレーションが妨げられる可能性があります。
❹問題や課題が早期に発見されにくくなるほか、問題の解決にも時間がかかる可能性が高くなります。
ではどうすればブラックボックス化が解消できるか、つまり、「状態把握」できるようにプロセスマネジメントを透明化していけるのか?そのカギが「型化」です。
型化から状態把握へ
私はよく「プロセスの可視化」という表現を使うのですが、あえて「透明化」と比較するなら
ブラックボックスを外から見えるようにする過程が「透明化」で、
ブラックボックスを紐解く過程が「プロセスの可視化」
となります。
「プロセスの可視化」は、つまるところ工程がないところ、標準化されていないところに対し、型化していく過程のことです。営業の活動報告が特定の定義自体がない状態では同じ軸で組織の状態を把握することはできません。SFAを導入する際にどのようにプロセスを設計すべきかという点で悩まれる組織が多くありますが、これまで主観的でそれぞれ異なる観点で営業報告を基に意思決定を行っていた組織で最初に訪れるハードルになります。
「プロセスの可視化」にあたり、状態把握を行い、その先にある意思決定の品質を高めるために必要な因数を見極め、形式化・型化していくことでブラックボックスが紐解かれていくイメージです。そこを経てプロセスの進捗状況まで含めて必要な情報が把握できる状態とモニタリングのための仕組みが整う様になると「状態把握」が実現できます。
ここまでの話をレベル別に見ながら、医療の現場に例えてみると…
【Level.0】
属人化していて型がない段階
…経験のある医者のみが自らの経験(暗黙知)で読み解ける
【Level 1 プロセス標準化~可視化】
標準化のための型づくり、定義づくりの段階
…読み解く手法が形式知化されて、すべての医者が理解・実行できる再現性のある状態
【Level 2 プロセスマネジメントの透明化】
プロセスの進捗状態が容易になり、運用が飛躍的に容易になる段階
…心電図のように、これらの工程の進捗を自動化し、医療チームとして管理・運用する仕組みが整う
このような感じでしょうか。
長くなりましたが、RevOpsを目指すにあたってまず注目すべきは、PDCAサイクルを回せるようにするための起点となる組織の「状態把握」です。
状態把握のためには下記のステップが重要となってきます。
❶プロセスの標準化~可視化
❷プロセスマネジメントの透明化
❸定着化とモニタリング
言葉にすればシンプルですが、実際に組織に実装するのは難しいかもしれません。しかし、誰もが認める純昭和的レガシーを抱えていた我々も地道に改善を積み重ねていくことで組織を変えることが出来ました。そして現在も継続して組織のアップデートを行っています。簡単ではないかもしれないですが、RevOpsはどんな組織でも実装していけるものだと考えています。私と同じように純昭和的レガシー組織の課題に悩まれているご担当者の方に少しでも役立てていただけたら嬉しいです。
追伸:KKDは悪いものではなく、勘、経験、度胸は持っていて困ることはない、むしろプラス要素。ただ、それだけでは足りないほど他国は産業革命して技術を磨いていたということだと思います。
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