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"した側"にしか癒せない”された側”の傷

パートナの浮気によって生まれたトラウマは、どうすれば癒すことができるのか?

その答えを知りたくて、トラウマ治療専門家である矢野宏之さんにお話をうかがいました。

前回のお話では、浮気のトラウマとはどのようなものなのか?

そして、トラウマ治療方法であるEMDRについて、トラウマ治療専門家である矢野宏之さんに詳しくお話をうかがいました。

(EMDRとは、治療者が相談者の目の前で指を振り、相談者はそれを目で追いかけながらトラウマの場面を思い出すと、記憶の整理が進み、トラウマ治療につながるという治療方法)

今回はさらに一歩踏み込み、トラウマを解消させるための必要条件や、夫婦ができることについて、具体的なお話をうかがいました。

トラウマ解消のための必要条件とはなんなのか?

した側とされた側は、どのようにしてトラウマ治療に向き合えばいいのか?

夫婦ふたりができることとはなんなのか?

ポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」で詳しくお送りします。

この記事では、ポッドキャストの簡単なまとめと、ぼく個人の気づきを書いています。

ポッドキャストと合わせて聴いていただけると、より理解ができるかと思いますので、ぜひお聴きください。

(そして、ポッドキャストをフォローしていただけると、めっちゃ嬉しいです)

前編はこちら

不倫のトラウマは、EMDRをすればすぐに治るというものではないそうです。

トラウマによって生まれたPTSDの治療は、PTSDを受け続けている状況ではできないのです。

例えば、戦争中の兵士は強烈なトラウマを戦いの中で負いますが、そのトラウマがあるから戦えてもいるわけです。

恐怖体験のフラッシュバックがあるから意識が覚醒し、危ない場面も切り抜けられる。

また、戦争中はずっとトラウマを負い続けているので、治療してもまたトラウマを負うことになりますよね。

不倫のトラウマも同じで、つねにトラウマを負い続けていると治療してもトラウマを負ってしまうのです。

不倫のトラウマは、加害者がずっとそばいにいるという特殊な状況で生まれていますので。

そのため、不倫のトラウマの治療のためには、まず夫婦関係を再構築させる必要があります。

でも、不倫によって夫婦関係がバラバラになっているのに、関係の再構築なんてできるんでしょうか?

矢野さんは、トラウマ治療には「トラウマインフォームドケア」というセオリーがあると言います。

トラウマを持っている人がどういう心理状態におちいっているのかを説明し、被害者と加害者の両方が「トラウマを受けるとはどういうことか」を理解するというものです。

パートナーがもう浮気していないことは頭ではわかっているのに、どうしても続いているんじゃないかと勘繰ってしまう。

ちょっとしたことで過去の辛い記憶がフラッシュバックし、パニックになる。

出来事は「過去」のことのはずなのに、気持ちの中では「今」の出来事になってしまっているんです。

これは記憶の断片化が原因なんだそうです。

大きなショックによってトラウマを受けた人は、記憶が途切れ途切れになり、その記憶の断片化が原因で、日常生活のふとした瞬間にフラッシュバックが起きてしまうんです。

こういったトラウマに関する知識をふたりが理解するところから、夫婦関係の再構築が始まります。

不倫された側の心理状況を整理し、お互いに共有し、した側がそこに理解と共感を寄せていくことで、夫婦関係再構築の土壌が整っていくのです。

ただ、した側が(いつまでこんなことしなきゃいけないんだ)と、された側に対するケアを怠ってしまうと、関係性の修復もトラウマの治療も長引いてしまうそうです。

おそらく、不倫という大きな危機をふたりが乗り越えられるかどうかは、ここにかかっているんだと思います。これはぼくの意見ですが。

した側がされた側にたいして、「一生ケアをし続けていく」という覚悟を持っている場合は、治療は長引かないそうです。

トラウマについて理解し、カウンセラーを間にはさみ、いままでパートナーに対して言えてなかったことを相手に伝えていきます。

それに慣れてきたら、徐々にふたりでも気持ちを共有していきます。

ちょっとしたことでフラッシュバックは起こりますので、その都度、した側は根気強くケアをし続けます。

カウンセリングに行ったからトラウマが消えるわけではなく、一生付き合っていくものなんだそうです。

さらに、「不倫した側でないとできないケアがある」と矢野さんは言います。

トラウマは「自分が悪いんだ」という罪悪感や無力感がおもな症状ですが、この価値観を植え付けたのは加害者である不倫した側の人間ですよね。

価値観を植え付けた張本人が「すごく自分は悪いことをしたんだね。申し訳ない」とケアをしてくれることで、自分のなかの罪悪感や無力感を払拭してくれる力になるのだそうです。

した側だからこそ、できることがある。

した側だからこそ、癒せる心の傷がある。

そう思えば、もう少しがんばれそうな気もしますよね。

ポッドキャストでは、より深く、より詳しく、お話をうかがっておりますので、ぜひ合わせてお聴きください。

noteやポッドキャストのご感想をコメント欄やTwitterでいただけると、番組作りの参考になるので、めちゃめちゃ嬉しいです。どんなことでもけっこうです。

ポッドキャストのご感想をツイートしていただける際は、#夫婦関係学ラジオとハッシュタグをつけていただければ、ぼくがすべてチェックします。

コメント、ご感想、お待ちしています。

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矢野さんのYoutubeラジオはこちらです。相談者さんからの質問にお応えするQ&A形式です。

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※「アツの夫婦関係学ラジオ」は毎週月曜木曜の朝5時配信です。

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