見出し画像

LBO - リターン分解 | LBO Returns Attribution Analysis

今回はLBOモデルの作成においてリターンの結果を説明するのに必要になる、リターン分解 (value creation build-up or LBO Returns Attribution Analysis)について解説していく。
以前の下記記事においても説明しているものの、よりシンプルかつ、別のフォーマットでの説明を試みる。


Value creation build-upとは

これはPE投資のリターンをその源泉であるEBITDA growth, Multple expansionおよびDeleverageにブレークダウンし分析する手法である。

PEファンドの入社試験(LBOテスト)で計算が求められることもある。やや専門的な内容になるが計算手法自体はシンプルであり、必要な知識もそこまで難しくないので、将来的にPEファンドを受ける人等は押さえておくと良いと思う。

簡易的なプロジェクションの例

今回の例では、簡単なプロジェクションとして下記を想定する。

画像1
"Quick and dirty" projection model

売上高はエントリー初年度のLTMではUSD400m, LTM EBITDAはUSD50mとする(EBITDA margin: 12.5%)。Net debtはエントリー時にはUSD400mであった。主要な仮定は以下の通り。

売上高:毎期2.5%で成長するものと仮定
EBITDA margin: 毎期0.25%改善するものと仮定
Debt:投資期間を通じて毎期USD50m返済と仮定
(ここでは便宜上、Net debtをマイナス表記している点に留意)
Fee:投資時にUSD30m,  Exit時にはFA fee等のUSD5mと仮定

投資期間はグレーで表記しており、Yearfrac関数を使用して投資期間を計算できる

モデリングの例

上記はプロジェクションをもとに、投資期間におけるEVとEquity valueの推移を示したものである。
エグジットマルチプルはエントリー時は9xを想定していたが、エグジット時は10xになるように仮定している。
投資期間における増減は以下のテーブルのようにまとめることができる。

上記のテーブルがリターンの源泉計算の基礎になる。

ウォーターフォールチャートによる計算結果説明

上記のLBOモデリングの結果をテーブル形式で分解して説明すると以下のようになる。

Value creation build-up

EBITDA growthはmargin improvementと、Revenue improvementの2つに分けて計算している点がポイントである。

テーブル形式でまとめる際には、そのままWaterfall が作れるように数値の並びを工夫する。

Waterfall chart | Return build-up | Exit in 2022

また、リターンの絶対額だけでなく、各リターンの構成要素別に%とMOICで表示することも重要である。

ここから先は

176字 / 1画像

PEファンドに関するnote 財務モデリング、選考、投資事例等

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!