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血なまぐさい不動産相続実話を読んだ②

前回に引き続き、『地主のための資産防衛術』という本から得た学びを書いていきたい。

※前回の記事はこちら


言いにくいことこそ直接話すべし

この本の目次を見て、気になる小タイトルがあった。

それは、「役員報酬を減額すると叔母は半狂乱に」という章だ。

僕自身、親族の役員報酬減額と向き合っていたので、同じことと向き合っている方の内容を読みたかったし、どういう経緯で狂乱に至ったかも気になっていた。

いざ読んでみて、内容は要約するとこんな感じだった。
※主語は常に後継ぎである著者

家業に戻ると、経営状況が明らかにまずかったため、叔父に役員報酬70%減額、叔母に25%減額を実行した。
その内容は叔父に伝えたため、叔父から叔母に伝わっているかと思っていたが、実際は共有されていなかった。
その結果、事前連絡なしに給料が下げられた叔母が発狂し、「甥に給料を下げられた!」と親戚中に吹聴した。
その後、叔母の娘に叔母を諭してもらおうと、会社が苦しい状況を説明し、「これ以上わがままを言ったら、本家の敷居をまたぐな、と言わざるをえない」と伝えた。
それが油に火を注ぐ結果となり、叔父と叔母が完全に拒絶モードに入り、連絡もつかなくなっていった。

うん、、、

まず第一に、なんで事態を鎮静化させようとする際に出るセリフが、「本家の敷居をまたぐな」やねん!!!!!

というのは当然ツッコんでしまうところではあった。

ただ、それ以外にもうまくいかない原因としていくつかポイントがあったかと思う。

・叔母から叔父に事前共有がされていなかった
・その後叔母を諭すために叔母の娘経由で内容を伝えた

まず、僕はこの2点から既に違和感だった。

当事者どうしで直接話そうよ。

どこの誰が言ったか知らないけど、「言いにくいことこそ自分の口から直接伝えるべき」って教えがあるけど本当にその通りだと思う。

叔母の立場からすれば、自分にとって不利益な情報が、直接じゃなくて間接的に耳に入ってくるって、それは言われる側からしたら不快感MAXだよねと思う。

だから、この章を読む前は、「頑固な叔母が、どんなに説明したところで、給料一円たりとも下げないぜ!っていう姿勢でそれに苦しんだのかな」とか想像してたけど、実際は直接話もしてなかったって言うのがオチだった。

そりゃ発狂するだろうよ。

僕は、自分が完璧だとは全然思っていないけど、家業戻ってから、個人にマイナスな要素や不利益がある要素は、必ず当事者と膝を突き合わせて話すようにしている。

役員報酬減額についても、何回も何回も話をした。

相続準備の方向性の説得のために、遠方の叔父のところへ、高速2時間以上ぶっ飛ばして話に行った。

やっぱり基本は、自分の口から直接伝えるっというのが基本だと思う。

それだけは絶対守ろうと思っている。

信頼は失ったら戻らない。
一回弁護士が間に入ったらもう直接話はできない。

退職代行とかすら流行ってしまうような現代だけど、基本は自分の口から伝える。頭下げる必要があるなら、自分が直接行って頭を下げる。

そういうことができない人に運は味方しないと僕は思う。

自分が知らないこともあることを忘れずに

僕自身もそうなのだが、後継ぎは過去の経営を知っていくうちに、必ず先代に文句を言いたくなる時があるのではないだろうか。

本書でも、著者が過去の経緯について下記のように記載している。

過去の経緯をヒアリングし、叔父のずさんな経営実態が浮かび上がってきた。
・叔父は独断で無謀な出店や閉店を繰り返し、多額の負債を作った。
・本家の土地を担保にして借金をしていた(叔父は連帯保証人であったが、自分に負債が降りかからないように仕組んでいた)
・叔父自身は、高給を取り、多額の経費を使って遊び暮らしていた。
・叔父は経営再建のために、私の父と母の役員報酬を下げたが、自分の給料は少しの減額程度で高いまま据え置きにしていた。
・叔父の会社であるB社にA社の借入金を事業資金貸し付けという体裁で流していた。

いやあ分かるんだよ。

過去の経営について、なんでこのお金の使い方なんだとか、なんで先のこと想定して動いてないんだとか、僕もいろいろ言いたくなった。

そして、実際役員である母にこれまでの経営についてケチつけたりもした。

でも、それはやっちゃいけないって今は分かる。

なぜなら、後継ぎは過去をリアルタイムでは知らないから。

全てを知っているわけではないのに、自分が知った断片的な情報だけを以て、モノを言っていることになるから。

ましてや、常識や商慣習等も時代とともに変化するから、今の価値観で過去をジャッジするのはとても危険なことだと思う。

自分も過去の決算書を見て偉そうに説教したこともあったが、今はそれは違うなと思う。

そのときはそのときの課題があって、先代が必死にそれらを乗り越えてきた結果、今も会社が生き残っている。

たくさんの苦労や葛藤がそこにはあったはず。

それらも知らずに、後継ぎの目から「なんでこうできなかったんだ」と過去のことにケチをつけるのは筋違いだなと思う。

自分がもし、同じことを何十年後に未来の後継ぎにされたら、間違いなくキレると思う(笑)

おまえ、何も知らないくせに何言ってんだ?って。
俺が見てきた地獄を知ってんのか?って(笑)

先代へのリスペクトと感謝。
これだけは忘れてはいけないなと自戒を込めて。

無知の知をもって生きていこう。

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