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「リアルな人」へのデザイン提案時、意識した方がいいよ〜ってポイント。成長の兆し。デザイナーを続けるために。

◎ 「デザイナーになって、『誰に、何を与えたいか』」の気づきが、成長加速ポイント。



デザイン誌「タイポグラフィックス・ティー 289『教育前線特集』」に、私の執筆記事、再進学者のデザインスタジオ「UM Design Association(ユーム)」を掲載いただきました! ユームは、私が講師を務める場でもあり、最大の特徴は「リアルな人と直接やり取りする」こと。人と一緒に築くデザイン。 

ユーム1年次は、デザイナーの心構えとデザイン構築の基礎体力づくりを中心に。ユーム2年次は、実践デザインワークに伴い、「クライアントを“自分で探す”」ところからスタートします。誰かが用意した課題よりも、自分で獲得した仕事、“あなたにやってほしい”と言ってくれる人と築く仕事の方が、断然、モチベーションも上がり、デザインと向き合う力もつく。

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デザイン力をつけるには、技術スキルも大事ですが、それよりなにより、「誰と、どんなことを達成したいか?」という、ハートが第一。「デザイナーになりたい」ではなく、「デザイナーになって、『誰に、何を与えたいか』」。熱い気持ちがあってこそ、スキルもメキメキつくのです。連動しているのです。

で、自分が「誰に、何を与えたいか」って答えは、腕を組んでウ〜ンと考えていても出てこない。答えを出すには? 誰よりも多く、「人とともに、デザインをつくること」。人の3倍つくっていれば、「自分は、こんな人と、こんなデザインで、こういうことを達成したいんだ!」という、答えが自然に出ます。

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◎ “ゆとり世代”、なんてのは存在しない。成長する/しないは、「半分は本人、半分は環境」の責任。


ゆとり。余裕。窮屈でない。いいことじゃあないか。

独立とほぼ同時期に、私は元々教わっていた、デザイン専門学校で講師を務めることになった。自分自身、「デザインを教える」なんてのは、巨匠にくらべりゃおこがましく、まだまだ勉強しなければ、力をつけなれば、という身分である。なので、「教える」ではなく、「伝える」というスタイルでいる。講師というよりも、“アドバイザー”とかの方がしっくりくるかも。

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デザインの考え方、構築フロー、アウトプットの仕方……どれも正解は存在しない。存在しないが、生き残ったデザイナーたちの共通点はある。そのポイントを伝えるのが私の役目だ。

ここで大事なのが、「自分の中だけで完結する制作物(自身が方向性を決め、自身がOKを出す自主制作物)」には、なんのアドバイスもできないこと。(強いて、のアドバイスはできるが、効率的でない、成長度合いも少ない)

成長に必須なのは、デザインを提案する対象、つまり、「リアルな人」なのだ。

自分ではパーフェクト! と思っていても、ダメ出しをされる、了承されない、いつまでもOKが出ない……。こういった時に、「あ、やばい」という圧がかかり、「ここまでやってりゃあ、まぁ大丈夫だろう」という、ウンコリミッターが外れだす。眠っていた、使ってない脳みそ部分がブルブルと震えだし、「こんな時は、どうすればいい!?」ってな、シナプス会議が行われる。

ここで始めて、「成長の兆し」が見える。

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……で何が言いたいかってーと、デザイン教育現場は、「『成長の兆し』のきっかけ」を、用意する責任がある。ってこと。

この「きっかけ」を用意せず、アプリケーションスキルだけを高め、とりあえず就職し、肩書きだけデザイナーになり、現場でまったく対応できない……という状況を生み出してしまった場合。

それは、“ゆとり世代”うんぬんではなく、教育現場に半分責任がある。ちなみに、半分は本人の責任。やばい環境だと思ったら、いち早く、泥沼な場を抜けるべきなのだ。その判断は、個々にある。(環境のせいにするな! あれ?)

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◎ 「心豊かなまま、10年以上、自分の意志で、デザイナーを続けられる人」になるために、やるべきこと。


さて、そんな想いを抱えつつ、週1ペースでデザインを伝えているわけですが、ユームのカリキュラムを簡単にご紹介します。

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◎ 1年次のカリキュラム

・ 「デザイン構築の流れ」を体感する。:
カフェのロゴ・ツール提案。2年生をカフェオーナーとして、ヒアリングから提案までの進行管理も含めて、すべて自身の判断で行う。「目的と行為と所作、1つ1つを体感」する。

・ 「書体、レイアウトが与える印象」を意識する。:
ファッション誌のレイアウト。実仕事でも使われた、ライターさんからの原稿テキスト・共有写真をもとに、「誌面で与えたい印象」を書体選抜・レイアウトで構築する。

・ 「圧倒的特長」を汲み取り、具現化する。:
読売広告大賞への応募する、広告のディレクション、実施制作。「クライアントの最優先でアピールすべきポイント」を吸い出し、表現へと導く。

・ 「問題解決」の視点、改善につながる提案力をつける。:
「多少の問題を抱えた“現状”から、より良くなるデザイン提案」
を行う。例えば、行きつけ美容院のショップカードのリデザイン提案。例えば、バイト先の求人募集ポスターのデザイン提案。

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◎ 2年次のカリキュラム

・ 実践プロジェクトA:
自分の親、兄弟、友人などをクライアントにする。「何のためにデザイン制作を行うか」、そのゴールを明確に。例えば、就職活動中の友人が面接時に使用する、名刺デザイン(= 内定がゴール)。クライアントが心から納得いって、プロジェクト完了とする。

・ 実践プロジェクトB:
振り幅ある力をつけるため、「プロジェクトA」とは異なる媒体、または、方向性を軸に、クライアントを探す。例えば、「プロジェクトA」で、年齢近い友人と名刺をつくった場合、「プロジェクトB」では、年の離れた親戚が販売している、漬け物のパッケージデザインなど。

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そんでもって、下記は、1年次の最終課題、「問題解決」プロジェクトを進行していた中、まぁ、「ここまでやってりゃあ、まぁ大丈夫だろう」という、ウンコリミッターがガチガチに固まった提案ばかりを見せられた直後、私がぶっ込んだメール文(正確にはSlack文)です。

私個人は、就職につながる学生を1人でも多く増やしたい、とは全く考えてなく、心豊かなまま、10年以上、自分の意志で、デザイナーを続けられる人に業界に入ってきてほしい。そう強く願う。

って考えだと、どうしても、厳しく、熱い内容を送ってしまうのだが、中途半端な優しさは優しさなんかではなく、むしろ、今後に活きる厳しさの方が優しさだろう、という考えなんで、オールオッケー!! ちなみに、小一時間かけて文章を打ち込んでいる時間は、学校から1円ももらっていない。全部、自分の判断だ。

すべて、個々のデザイナー人生、デザイン業界をより良くするため。あと、10倍返しの出世払いを期待している。心から。

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◎ くらえ! 「リアルな人」にデザイン提案する時、気をつけなきゃいかんポイントの連打連打連打!!


以下、提案が全員微妙だった授業直後、ユームメンバー学生に送った、ムカムカメール文……↓

「成長」とは、「わからない」ことが「わかり」、「対応」できるようになることです。

前回提案資料は、9人の資料内、クライアントを心から喜ばせられると感じたものは、ゼロだった。この場合、「責任は私(永井)」にあります。1人にも、伝えるべきことが、伝わってなかったからです。(9人中、1〜2人だけできてない場合は、その本人たちに原因がありますが)

重複しますが、授業内で、着実に、無駄なく成長するには、「早めに“問題点”を探し / 早めに“仮説・コンセプト”を立て / 早めに“リサーチ”をし / 早めに“形に起こす” / 早めに“落としどころ”を決める」ことです。

で、この「早め早め」の都度タイミングで、「方向性に問題がないか、確認を取る」(ユーム授業内だと永井)のもコツ。(例:この「問題点」に問題ないか(やる意味があるか)? この「仮説・コンセプト」に問題ないか?など)

一気に走った後、全然、走る方向がちがったら、心身ともに疲れちゃいますよね。

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現在行っている「問題解決の提案」は、「2年時プロジェクト・就活時」に向けた、基礎体力づくりです。「(知人〜他人も含む)相手が何を求めているか、汲み取る力」をつけること。これが目的。

実際のデザインワークでも、就活の時でも、「『相手が求めていないこと』に一生懸命になっても、一生ゴールは訪れない」から。(“自分ががんばった”表現デザイン = 相手が喜ぶとは限らない、という意味)

だから、「考え、汲み取る力」をつけるのが大事なんです。

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人に使われない、“自分軸で動かすデザイナー”になるには? 人と直で打合せする前に、「確実にプロジェクトを進める、その場で判断できる資料・提案書」を用意する。そのためには、

01. 流れよいスケジュールを組む
02. 独自性のあるコンセプトを立てる
03. すぐに形にする
04. 原寸・実物で見せる
05. 同コンセプトで3案以上つくる

次回、上記5ポイントは必ず抑えられた、問題解決の提案書を期待しています。(判断できない、と判断した場合は、再提出です)

※ 客観的な意見は、間違いなく、いいターニングポイントになる。いい意見をもらうには、「判断できる形」が必要。“こういうことを考えている、つくりたい”という、“口頭ベースの思考・方向性”に、ベストな意見を求めるのは難しい。というか、ベストな判断はできない。

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迷ったら、相談をどうぞ。真剣に、真摯に、強いデザイナーになる人に対しては、私も真摯に答えます。ただ、なんとなくの相談や、締切間際に相談してくるのは、論外です。(疑問・問題を放置していた事実を、相手が感じたら、どう思う?)

また、途中相談もなしに、当日を迎え、喜べる資料じゃなかったら、それはそれで怒りになるでしょう。(デザイン会社内、対クライアント、すべて同じ状況です)

来週は、全員が笑顔で春を迎えられるように。問題解決の提案書&報告プレゼンを期待しています。

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↑……以上、ここまでがぶっ込みメール文。はい! 気持ちわるいほどに長い! とは言え、伝えるべきことは伝えた。「成長の兆し」は用意したのだ。この時点での、環境責任は果たした。こっから先は、個々の責任だ。さぁ、どう出る??

……………………翌週授業。提案内容のチェック。……あら〜〜〜!! みんな、最高! しびれる提案。よーし、褒めメールだ!!

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◎ 良かった時には、ガッツリ褒める。それが、人情ってもんでしょう。


以下、提案が全員最高だった授業直後、ユームメンバー学生に送った、褒めメール文……↓

昨日は最高の報告・提案、ありがとうございました! 授業内、自分の提案、また、お互いの提案、それに対するレビュー・アドバイスを聞いていて、体感したと思いますが、提案内容の、

・ 意図が明確
・ 現物・原寸で、具体的にわかる
・ 提案数・検証数が多い


……と、それに対するレビューも「密度濃い内容」が返ってくる。つまり、「話し・プロジェクトが具体的に進む」ので、「やり直しにならない」。結果的に、「自分が楽になる」。

次回はあのレベルを、「初回に出せるように」しましょう。早めに方向性が確定できれば、私も、「デザイン細部の完成度に対するアドバイス」ができます。

改めて、先日の提案資料は、皆全員、とてもよかったです! しびれました。引き続き、より成長していきましょう!!

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……みじかっ!

あと、筋トレとして、「日常の気づきを言語化して、デザインディレクション・コンセプト設計力につなげる」という、ユームメンバーによる発信も、授業課題としてやっています。

引き続き、より成長していきましょう!! かむかむレモン!

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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!!

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