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虐待的なリーダーシップと自己愛

部下に対して権力的に高い位置から敵意をもって接するようなリーダーシップをとる人がいます。このようなリーダーシップのとり方のことを,虐待的リーダーシップと言うそうです。

虐待的リーダーシップは,部下となる従業員たちにネガティブな影響をもたらすと考えられています。

◎職務満足度が低下する
◎職場に不安,緊張,ストレス,疲労などをもたらす
◎従業員の怒り,恐れ,悲しみなどを体験させやすい

一方で,このようなリーダーシップのあり方は,メリットもあると考えられています。

◎従業員の創造性を促進する可能性がある
◎コンプライアンスの遵守
◎不正の是正
◎非協力的な従業員のコントロール

これらのメリットを見ると,確かにこのような戦略をとろうとする方向性も理解できなくはありません。


自己愛的なリーダーシップ

「自己愛型のリーダーシップ」ということばもあるそうで,研究も行われています。このタイプのリーダーシップは,自己中心的で自分の利益を追求して,野心的な特徴をもちます。

自己愛的であることは,自分の仕事の能力に対して最高の自己肯定感を表すようなリーダーシップを示すと考えられます。このような特徴は,虐待型のリーダーシップとも共通点があるのではないでしょうか。

そこで今回は,台湾で仕事を持つ人々に対して行われた調査を分析した研究を紹介してみましょう。虐待的なリーダーシップ,従業員の不安や怒りといった感情,そしてナルシシズム傾向の関連を検討するものです。では,こちらの論文を見てみましょう(Perceived Abusive Leadership, Narcissistic Personality, and Employee's Political Behaviors: A Moderated-Mediation Model)。

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