見出し画像

職場の仲間外れの影響は性格によって変わる

割引あり

働きやすい環境というのは,どのような要素で成り立つのでしょうか。

人間関係が快適で,和やかな雰囲気があり,何でも自由に言い合うことができるような職場だと,過ごしやすそうです。


悪い職場

職場に人間関係を台無しにする問題は,次のように従業員たちが認識することです。

○「自分は周囲から無視されている」
○「自分は排除されている」

職場での排斥(オストラシズム)は,自分が他の人から無視されている,排除されていると認識する程度のことを指します。社会的排除や孤立というのは,職場だけでなく人間関係全般で大きな問題です。排斥は苦痛を伴う不安な経験であり,怒りや不安,悲しみ,苦痛などさまざまなネガティブな感情反応を生じさせます。

さらに,反社会的行動,逸脱行動,暴力,攻撃,公正ではない行動など,否定的な行動へと結びつく可能性もあります。


性格要因

職場のストレス要因は,個々人がもつパーソナリティ要因によって影響を受けます。職場における不公正な行動や逸脱行動についても,パーソナリティとの関連が検討されてきています。

その中で,特にナルシシズム(自己愛)は,職場の不公正や逸脱行動に関連することが知られています。ナルシシズムは,マキャベリアニズムやサイコパシーとともに,ダーク・トライアドというまとまりでも検討されているのですが,これら3つのなかでは,いちばん職場の問題行動につながることが報告されています。

ナルシシズムは,自己中心的な傾向がある一方で,脅威に対しては敏感に反応します。そのため,脅威が予想されるとネガティブな感情を多く経験すると考えられます。さらに,ナルシシズムの強い人は,仲間外れの影響を受けやすく,それに対して公正ではない行動で応じやすいことも予想されます。

ストレスと職場の行動

今回紹介する研究では,ストレスがかかる中で,ストレスが知覚され,そこから非生産的職務行動(counterproductive workplace behaviors; CWB)と呼ばれる行動につながることが仮定されています。非生産的職務行動は,特に理由なく遅刻したりサボったり,報告を怠ったり,不正を隠したり,攻撃したりするような行動全般のことを指します。

加えて,そこでナルシシズムの役割についても検討しています。ナルシシズムが高い人のほうが低い人よりも,ストレスから非生産的職務行動につながりやすくなるのではないかという考え方です。では,実際にどのような結果になったのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Workplace Ostracism and Instigated Workplace Incivility: A Moderated Mediation Model of Narcissism and Negative Emotions)。

ここから先は

949字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?