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子どもの頃の有害な体験はどれくらい性格に関連するのか

子どもの頃のネガティブな経験は,大人になってからどのような影響を及ぼすのでしょうか。

身体的な虐待や精神的な虐待,ネグレクト,性的虐待など,トラウマになるような出来事は,境界性パーソナリティ障害や反社会性パーソナリティ障害,早強区政障害,統合失調スペクトラム障害,うつ病,不安障害,アルコール依存など,さまざまな精神疾患の原因になり得るものとして考えられています。

性格との関連

幼い頃の有害でネガティブな体験と精神的な問題との間の関連は,昔からよく指摘されています。しかし,病理ではないパーソナリティ特性との間の関連は,あまり明確な結論が得られているとは限りません。というのもこういった研究は断片的なことが多く,研究結果もあまり統一されていない傾向があるからです。

こういうときは,メタ分析を行ってみることがひとつの解決策になります。こちらの研究では関連が報告されている一方で,こちらでは報告されていないという,研究の不一致があるようなときには,メタ分析によって過去の研究結果を統合することで「いまのところこれくらいの関連(差)がある」と,一定の結論を出すことができるからです。

というわけで,今回は幼少期の有害な体験(虐待やネグレクトなど)が,ビッグ・ファイブ・パーソナリティなど一般的なパーソナリティ特性に関連する程度をメタ分析で検討した研究を見てみましょう。とはいえ,なかなか虐待の経験などを調査するのも難しいところです。ですからあまり行われた研究の数は期待できないかもしれません。

では,こちらの論文を見てみましょう(The relationship between adverse childhood experiences and non-clinical personality traits: A meta-analytic synthesis)。

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