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ナルシシズムは経済動向に連動する?

どうして見出し画像がオバマ元大統領なのかというと……それは最後のお楽しみです。

アメリカでは,ナルシストがどんどん増えてきている,という話はこの20年くらいのあいだに良く言われてきたことでした。この『自己愛過剰社会』という本が,まさにその研究結果をもとに書かれたものです。

自分を特別だと思うのはナルシシズムである。自尊心でも自信でもないし,子供に育んでやるべきものでもない。ナルシシズムと自信は違う。子供には,算数がよくできるねとか,がんばれば算数ができるようになるよと言ってやればよく,おまえは「特別だから」と言う必要はない。自分は特別だと思って悦に入るのもいいが,人と一緒に働き,行列に並び,高速道路で割り込まれる現実の世の中では,挫折するだけだ。

ナルシシズム(自己愛傾向)が蔓延している要因のひとつは,子どもたちの自尊感情を高めようとしたさまざまな方策が,副作用としてナルシシズムの増加を招いてしまったという解釈のようですね。


上がったのか下がったのか

ナルシシズムが最近になるほど高くなっている!という主張に対し,「そんなことにはなっていない」という研究結果も,ナルシシズムの研究者たちから報告されるようになっていました。

「いったい,上がっているのか下がっているのか,どっちが正しいんだ」という状況で,結果は保留状態になっていたというのが,この問題です。

その後どうなったのか

最近,この問題の続報が論文になっています。この論文です(Egos deflating with the Great Recession: A cross-temporal meta-analysis and within-campus analysis of the Narcissistic Personality Inventory, 1982–2016)。

この研究では,まず過去に行われたメタ分析にデータを追加して,結果をアップデートしています。そして,大学で定点観測的に何年もの間,調査が行われた結果を合わせることで,全体的に時代とともにナルシシズム傾向がどのような経過をたどったのかということを検討しています。

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