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年齢とともに動物に対する見方が変わる

「道徳的アクロバット」という言い方があるそうです。これは,人間が互いに矛盾するような倫理的な価値観を持ち,道徳的・倫理的なダブルスタンダードをもつことを指します。

とはいえ,多くの人はあまりこのことをふだん意識して生活しているわけではありません。ふだんの生活のなかでは,なんとなくそれぞれを「よい」「悪い」,「好ましい」「好ましくない」と判断しています。しかし,少しじっくりと考えてみると,そこに矛盾やおかしなことが起きていることに気づいたりします。


ペットか食物か

人間や人間以外の動物をどのように考えるか,というのもひとつの例です。ペットは愛情を持って扱われ,人間と同じように扱われます。一方で,家畜はときに過酷な環境で育てられ,食糧の生産のために命が消費されていきます。

何がペットで何が家畜であるのか,またペットに対してどのように扱い,家畜はどのように扱われるべきなのか,さらには肉を食べるかどうか,動物性の食品を口にするかどうか,このような判断も,非常に複雑で曖昧で「なんとなく」決まっている面があります。


子どもたちの判断

大人の世界も非常に曖昧なのに,子どもたちはそれをどのように学んでいくのでしょうか。おなじ人間以外の動物であるのに,ペットと家畜を明確に区別することは,子どもたちがどこかで学んでいくことなのでしょうか。それとも,子どもたちはすでにそのような区別を明確にできているのでしょうか。

今回紹介する研究では,4つの観点を取り上げています。そして,子どもと大人の判断を比べていきます。

◎動物の分類:動物をペットと食物に明確に分類するか
◎種差別:人間と動物を区別し,動物は人間ではできないような措置をしても許されると考える
◎動物の扱い:ペットや人間と比べて,家畜をどのように扱うか
◎食品評価:動物や動物性の食品に対してどのように考えるか

では,こちらの論文を見てみましょう(The Development of Speciesism: Age-Related Differences in the Moral View of Animals)。

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