宗教はネガティブさを緩和する

宗教を信じる心は,何をもたらすのでしょうか。

世界中の多くの宗教はおおよそ,自分勝手にふるまうことや強欲になることを戒めて,宗教によって定められた義務を遂行して,美徳を守るといった行動を求められます。宗教を信じて教義に従うというのは,ライフスタイル全般に何らかの影響を与えるだろうと予想されるというわけです。

宗教的な信仰が世の中に広まる時期と,薄まる時期で,人々の心理的な要因に何が生じるのでしょうか。

たとえば,何が幸福につながるのかという要因が,宗教的な影響の下に人々がある場合とそうではない場合とで,大きく異なってくるのではないでしょうか。たとえば宗教的な影響の下では,個人を苦しめるような出来事も「運命だ」「宿命だ」と考えたり「神の試練だ」と考えたりすることで,幸福にあまりつながらないということも想像できます。

実際にどうなのでしょうか。


宗教心は関連を調整するのか

そこで,ヨーロッパ29カ国を対象とした大規模な調査から,感情と幸福感との関連に宗教心が及ぼす影響を検討した研究を見て見たいと思います。この論文です(Religiosity moderates the relationship between negative affect and life satisfaction: A study in 29 European countries)。

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