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人生の生きがいや目的意識と転倒リスク

割引あり

年齢を重ねて高齢になったとき,ちょっとしたことで大きな問題へとつながることがあります。たとえば,転んでしまうこと,転倒です。


転倒

若いと転びそうになっても耐えることができますし,あっと思ったときに回避したりうまく対応したりできるものです。しかし年齢を重ねていくと,そうもいきません。

転倒は,次のような問題をもたらす可能性があります。

◎重大な障害を引き起こす
◎継続的な障害となるリスクを高める
◎生活の質を低下させる
◎医療費を増加させる

転倒して骨折し,そのまま寝たきりになって……という話も,よく耳にするのではないでしょうか。

というわけで,高齢者の転倒は,公衆衛生上の大きな問題です。ところが,高齢期の転倒というのは頻繁に見られます。高齢者の約28%が,毎年一度は転倒しているという調査もあります。

高齢期の転倒は,ときに深刻な問題をもたらします。

転倒の要因

転倒のリスクは,年齢などの人口と受け学的要因,疾病などの臨床的要因,運動不足などの行動学的要因などを含む,複数の要因で決定されます。

また,心理的な要因についても転倒との関連が検討されています。中には,ビッグ・ファイブ・パーソナリティも,転倒リスクとの関連を検討する研究があります。神経症傾向が高く,勤勉性が低い人は,転倒リスクが高くなるようです。また,主観的年齢も転倒リスクに関連しています。「自分は若い」と認識している人は,あまり転倒しないようです。

人生の目的

自分の人生が目標思考的で方向性をもっていると感じることである,人生の目的という概念があります。人生の目的はウェルビーイングの一要素です。人生の目的が高い人は,脳卒中や心血管疾患,認知症になりにくく,最終的には長生きする傾向すらあるそうです。

人生の目的意識が高い人がどうして長生きするかというと,身体活動に関連するからではないかとも考えられています。日常の運度はやはり転倒を予防しますので,人生の目的が転倒リスクを低めることも予想できそうです。

では,大規模な調査データを用いて検討した研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(Purpose in Life and Risk of Falls: A Meta-Analysis of Cross-Sectional and Prospective Associations)。

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