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生涯にわたる愛情の変化を探る

年齢を重ねても,愛情あふれる生活をしてみたいと思いますか?大多数の人々は,幸福で充実した人生を送りたいと思っているはずです。その中には,関係性のよさも大きく関係してくるはずです。

恋愛でも結婚でも,満足度は年々低下していくという研究結果は繰り返し報告されてきたようです。とはいえ,年齢とともにカップルの愛情が低下していくのは一部の人々であり,大多数のカップルは変化しないか,少し下がる程度だという研究結果もあるようです。少数の「大きく愛情が低下する」人々がいることによって,平均値が押し下げられるという可能性です。

加えて,変化する年齢が何歳くらいなのか,ということについてもさまざまな異なる研究結果が報告されているそうです。多くの人が疑問に思いそうな問題であるにもかかわらず,なかなか結論については一筋縄には行かない問題でもあるようです。


理論的には?

生涯にわたる愛情の変化については,どのような理論的な背景が考えられるのでしょうか。

たとえばパーソナリティの成熟を考えると,ビッグ・ファイブ・パーソナリティの生涯発達の研究を見ると,「成熟の原則」という現象が見られます。成人期を通じて,社会のなかでより求められる方向に,パーソナリティの平均値が近づいていきますので,成熟したパーソナリティとともに愛情も高まっていくと考えられます。しかし成人期の好機になると,少し望ましい方向が下がりますので,それに伴って愛情も低下するかもしれません。

発達課題についても,これまでにいくつものことが考えられています。成人期の初期,中期,後期それぞれに特徴的な発達課題が想定されていますので,それぞれの課題に応じて愛情を伴う関係性も変わっていきそうです。

メタ分析

こういった問題のように,先行研究に一貫しない結果が報告されていて,ある研究を見ればある結論になる一方で,別の研究結果を見ると全然違う結果が報告されてしまうような場合,どう考えたらよいのでしょうか。

こういうときに役立つことのひとつが,メタ分析を行うことです。ある問題についてさまざまな研究結果を集めて,統計値を統合していきます。また,あるグループと別のグループで結果がどう変わるかについても検討することができます。

では,実際にメタ分析をするとどうなるでしょうか。検討した研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(Development of Relationship Satisfaction Across the Life Span: A Systematic Review and Meta-Analysis)。

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